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金価格、震災後に乱高下 投資家の思惑交錯

東日本大震災後に金融市場が混乱する中、貴金属の金の価格は乱高下した。いざというときのために保有していた金を売る人、逆に好機とみて買う人。現物の地金を売買するために地金商を訪れる個人投資家の間には、様々な思いが渦巻いている。

現金確保か押し目買いか

「先のことがわからないので、資産を現金化したい」。地震の数日後、東京都千代田区の地金販売店に60代の夫婦が金現物を売りに訪れた。地震や原子力発電所事故をきっかけに先行きの不安が強まり、手元資金を確保するために貴金属を現金化しに来店したのだ。同店では震災直後の1週間、手元流動性の確保を目的に貴金属を売却する顧客が多かったという。「震災の義援金にする目的で数十万円分の金貨を売却した年配の顧客もいた」(同店)という。

一方、ある関西の地金販売店では購入客が急増した。震災後は販売金額が通常の3~4倍に膨らみ、「とくに17日は平常時の約5倍の金が売れた」(店主)という。大手地金商である田中貴金属工業グループの「GINZA TANAKA銀座本店」(東京・中央)でも17日は「地金売買コーナーの来客の9割が購入客だった」という。

購入が増えたのは、金地金の小売価格が急落し、「押し目買いのチャンス」とみた投資家が多かったためだ。国内大手地金商の小売価格は17日に前日比90円安の1グラム3769円と、約1カ月半ぶりの安値を付けた。ドル建てで取引される国際価格の急落に加え、円相場の急騰が国内金価格の下落に拍車をかけた。

先物下落と円急伸で「絶好の買い場」

国際価格の指標となるニューヨーク金先物は、福島原発の事故が深刻化した15日に30ドル以上急落し1トロイオンス1400ドルを割り込んだ。原発事故への不安から流動性確保のために株や商品を現金化する動きが強まり、「有事に強い」とされる金も例外とはならなかった。しかし戻りの早さも目立つ。金融市場が落ち着きを取り戻し、投資家の現金化の動きが一巡すると、金相場は早々に上昇に転じた。

リビア問題や欧州財政不安などを背景に、国際価格は再び過去最高値圏にある。主要7カ国(G7)による為替介入により、円の急騰にも歯止めがかかった。国際価格の急落と円相場急伸のダブルショックに見舞われた17日は「振り返れば絶好の買い場だった」と、ある市場関係者はつぶやいていた。

(商品部 村上史佳)

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モノやサービスの値段にまつわる「なぜ?」を様々な角度から掘り下げる連載。商品の種目ごとに細かく担当を受け持つ日経記者が、その担当の商品・サービスの値段の変化がなぜ起きたのか、日本だけでなく世界のトレンドまで鋭く切り込みます。

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