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「ツナ缶=マグロ缶」ではない 世界の主流はカツオ

カツオのフレーク。身は最も赤みがかっている

バンコクの冷凍カツオ国際価格が昨年後半から急落、理由はツナ缶の国際需要の減少――。1月にこんな記事を書いたとき、「カツオとツナ缶がどうして関係あるの? ツナってマグロのことでしょ?」と聞かれたことがある。

カツオは英語で「skipjack tuna」。生物学上の分類ではマグロ属とカツオ属は異なるが、欧米では漁法も用途も似ているため、「ツナ」とひとくくりにされている。資源が豊富で値段が安いこともあり、世界のツナ缶原料といえば主流はマグロではなくカツオなのである。かくいう筆者も数年前まで「ツナ=マグロ」だと思っていたのだが。

コンビニでおにぎりを買うなら最初に選ぶのはツナマヨである。サラダバーでもたっぷり盛りつける。パスタやチャンプルーでもおいしくいただいている。食卓に欠かせないツナ缶。あまりに身近で深く考えることのなかったこの食材について調べてみた。

最高級はビンナガ マイルドなカツオ

原料は主に3種類あり、缶に表記されている。日本で最高級とされるのが身が白い「ビンナガマグロ(ビンチョウマグロ)」だ。足元の原料相場はカツオの2倍ぐらいする。

ビンナガマグロは長い胸ビレを頭髪の鬢(びん)に見立ててビンナガと名付けられた

長い胸ビレを頭髪の鬢(びん)に見立ててビンナガ。胸ビレを広げた姿が似ていることから「トンボ」とも呼ぶ。地域によっては刺し身で食べられ、回転ずしの「ビントロ」としてもおなじみだ。「トンボ船」と呼ばれる台湾船などが季節に応じてカナダ沿岸の太平洋やタヒチ沖、インド洋で漁獲する。日本近海では一本釣りもあり、千葉県の勝浦や銚子で水揚げする。夏に三陸沖で取れるものは脂が乗り、特に重宝される。

世界各国の巻き網船が赤道付近で大量に取っているのが表面が黄色がかったキハダマグロとカツオだ。身はいずれも赤みを帯びており、「ホワイトミート」のビンナガに対し「ライトミート」と呼ばれる。「ライト」は低カロリーを意味するのではなく、色味を表している。味が淡泊なキハダはいろいろな料理に合う万能選手、カツオは「マイルド」というのが一般的な評価だ。

ビンナガマグロのブロック。木目調の節が美しい
キハダマグロのフレーク。いろいろな料理に合いやすい

水煮にゴマ油を加えると味が向上

形状は「ブロック(ソリッド)」と「フレーク」に大別される。身が原型を保っているのがブロック、ほぐれているのがフレーク。ほぐす手間がかかる分、フレークの方が高級なのかと思いきや「加工工程で原型を維持する方が手間や技術がかかるのです」(大手缶詰メーカー)。確かにブロックは木目調の美しい節が印象的で、フレークより価格も高い。

もうひとつの要素が調理法で、大まかには油漬けか水煮かということになる。カロリーが5倍前後違うことを横におき、味についての個人的な感想を述べれば、水煮はどこか物足りず、油漬けに軍配を上げたい。

ただ、使っている油はメーカーや価格により、オリーブ油、綿実油といった高級なものから、比較的割安な大豆油やキャノーラ油まで様々ある。

試しに水煮のものに高価なゴマ油をたらしてみたところ、格段に味が向上した。缶詰の中で何カ月も油に浸してから出荷する高級品はやはり価値があるが、安い水煮を買い、好みの油を加えるのもアリかもしれない。カロリーを気にしなければの話だが。

キムチ味・カレー味… 世界のツナ缶、いろいろ

さて冒頭の話題に触れておくと、冷凍カツオの国際相場は水産加工場が集積するタイ・バンコクでの取引価格が基準となっている。

ツナ缶は宗教上の問題がなく、冷蔵物流網がなくても流通できるため、新興国などでも需要が伸びやすい。

世界のカツオ・マグロ類の漁獲量は過去30年で2倍以上の約450万トン前後まで増え、漁が振るわなかった昨年春にはバンコク相場が過去最高値圏の1トン2400ドル近くまで上昇した。ただ、その後は高値による需要の減少や漁の回復もあり、足元は1400ドル以下まで下げている。

世界各地で市場を広げているツナ缶。世界を見渡すと様々な味付けがある。タイではトムヤムクンに浸したものがあり、フィリピンにはマリネとあえた「ツナ・アドボ」などがある。韓国のキムチ味、東南アジアのカレー味あたりは問題ないが、日本人の味覚からすると「これのどこがおいしいのだろう?」と首をかしげたくなる代物もある。カレー味は日本でも商品化されている。

水産経済学が専門で世界各地のツナ缶を収集している大東文化大学の山下東子教授は「日本のツナ缶は世界でも最高品質」という。何とも幸運なことである。(商品部 吉野浩一郎)

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