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チェンジアップ(豊田泰光)

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投球は多弁を要せず

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2011/1/20 7:00
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野球殿堂入りが決まった最後の30勝投手、皆川睦雄(南海)とは妙にウマが合い、よく食事をともにした。

山形出身の皆川は東北人=無口という昔のイメージ通りの人間で、酒も飲まない。弾んだ会話というものもなかったが、それがよかった。とにかく一緒にいるだけでほっとした。

万事控えめな男と私の組み合わせを、周囲は不思議がったものだ。

共通するのは同じ1935年生まれで、まだ多くはなかった東日本出身のプロ野球選手であること。東国を出て、関西、九州で勝負をかける者同士、他人のような気がしなかった。

びしっと抑えられたときに、私は「やっぱりいいピッチャーだよ」とわざと記者たちに聞こえるように言った。

打てなかったことは取り返しがつかないのだし、ならばこの際、皆川を売り込んでやろうか、という気持ちだった。

肩から先が柔らかく、横手投げの腕がムチのようにしなって、球が遅れて出てくる。おそらく、これまた腕の柔らかさのゆえ、直球でもわずかに沈む。

はたからみると変哲のない球にみえて、あれほど打ちづらい球もなかった。

殿堂入りの発表に同席したかつての相棒、野村克也が皆川の持ち球の小さなスライダーを「あれがカットボールの始まり」と話していた。

確かに今でいうカットボールで、打者の感覚ではボール1個分曲がるかどうか、という変化をした。

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