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レスリング米満、燃えて攻めて金 「夢みたい」

2012/8/12 23:55
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優勝が決まった瞬間、回転しながら跳びはねた。レフェリーに長い腕を挙げられ、誇らしげに胸を張る。「夢みたい。取れると思わなかった」と言うが、まさに有言実行のパフォーマンス。あまりに強すぎる、米満のレスリングだった。

レスリング男子フリー66キロ級、金メダルを獲得した米満=写真 小川望

圧巻の強さの秘密は卓越した攻撃力に尽きる。驚異的な体の柔らかさに加え、186センチという身長より17センチも長いリーチ。この2つの個性がタックルの鋭さを支えた。「米満のタックルを防げ」はひしめくライバルの合言葉だった。

相手は対策を施した。だが、さらにその上をいった。予測よりも遠い距離から踏み込み、足を取った。「過去の自分を超えたいと思って攻めた」。相手が絡み合って口に入れてきた手に食いつくほどに、闘争心はみなぎっていた。

昨年9月の世界選手権、決勝戦でケルマニ(イラン)に敗れた。堅い防御を崩すことができず、逆に返し技の餌食となった。ケルマニは本来タックルが得意だが、米満への対処は違って、じっと勝機をうかがってきた。

米満はタックルの打ち合いがしたい。本質的に「やり合ってこその格闘技」と思っている。どうすれば、相手の策を封じられるかを考えた。いかにして相手に守らせないかと。駆け引きの重要性に気づき、主導権の取り方を研究した。

鍛えたのはフェイントで相手を「だます」数々の方法を会得することと、好機を確実にものにするスピード。20秒間ほどの短いスパーリングを繰り返した。道場内でのダッシュにも取り組んで自らを磨いた。

6月に脇腹を痛めた。ケガの回復が遅れ、2週間前までスパーリングができなかった。ただ、昨年の世界選手権の時も2カ月前に右肘の靱帯を痛めていた。そのときは「左手の使い方を学んだ」といい、今回のけがも「自転車をこいでスタミナをつける」と前向きに受け止めた。

「世の中そんなにうまくいかない。それでも結果を残せるのが真の強さ」と米満。尊敬する宮本武蔵の言葉には「自他共に恨みかこつ心なし」というものがある。不平を言わずに現状を受け入れ、ひたすらに精進を重ねる。「金」への道は必然だったのかもしれない。(北西厚一)

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