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サッカー日本代表、「戦いの土台」が揺らいでいる
編集委員 武智幸徳

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2010/4/11 7:00
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ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会まであと2カ月ほどだというのに、日本代表は試合をするたびにひどくなる印象を与えている。4月7日、大阪・長居スタジアムでの親善試合で、日本代表はセルビア代表に0-3の完敗を喫した。90分間を通して収穫を探すのにもひと苦労で、「やる気はあったのか」と疑われても仕方のない中身だった。

目を覆いたくなるスピード不足

前半、セルビアのムルジャ(右)に追加点を決められる(7日、大阪・長居)

前半、セルビアのムルジャ(右)に追加点を決められる(7日、大阪・長居)

特に全体のスピード不足は目を覆いたくなった。守りの要のセンターバック(CB)、中沢佑二と栗原勇蔵(ともに横浜M)は1本の縦パスに合わせたセルビアのフォワード(FW)ムルジャに振り切られ、簡単に先制点を許した。W杯南アフリカ大会で日本の初戦(6月14日)の相手はカメルーンだが、ここのFWエトーの速さはムルジャの比ではないだろうに。

タネも仕掛けもない単純なパス1本でやられた原因は、中盤での日本のパスミスに起因している。それを奪い返す動きも甘かった。ボール保持者と次のパスの受け手とおぼしき選手に対する寄せ(プレッシャー)の厳しさは日本サッカーの生命線のはず。それが緩くてはどうしようもない。

そもそも岡田武史監督が志向する現在の日本代表のサッカーは高い位置(相手ゴールにより近い位置)からボールを取りに行き、それを素早く攻撃につなげることを基本線にする。その際、FWやミッドフィルダー(MF)が相手陣内で前から必死に相手ボールを追い回しているのに、ディフェンダー(DF)が自陣深くに守備ラインを敷くと全体の布陣が長く縦に間延びしてしまう。間延びすれば相手に使われるスペースも増えてしまうから、FWやMFの守備の動きと連動してDFもラインを押し上げて全体の布陣をコンパクトにするのである。

リスク回避の2つの方法

ただし、DFラインを押し上げ全体の布陣をコンパクトにすることは、DFラインとゴールキーパー(GK)の間に広大なスペースを作ることと裏腹な関係にある。セルビア戦のように、そのDFラインとGKの間のスペースに正確なパスを通され、俊足のFWにロングスプリントされたら中沢であれ栗原であれ、今回は出場停止で欠場した闘莉王(名古屋)であれ、実はそうそう追いつけるものではない。

そうなることが日本の失点リスクの中で最も大きいのなら、回避する方法は大きく分けて二つある。一つは高い位置でボールを取ることはあきらめ、全体の布陣はコンパクトにしたまま後退して自陣内に守備網を構築すること。後退すればGKとDFラインの間の距離はおのずと縮まり、相手に使われるスペースも小さくできる。ロングスプリントで威力を発揮する俊足FWに、滑走する距離も時間も与えないようにするのである。

もう一つは、全体の布陣は高い位置に展開させたまま、FW、MF、DF全員の守備の連動性を徹底的に高めること。ボールを失ったらすぐに全員が守備に入る、奪ったら全員が攻撃に入る、これを90分間やり続けて常に相手に圧力をかけ続けるのである。前者がパスを出されても大丈夫なようにリスク管理するのだとしたら、こちらはパスを出させないことでリスク管理する。出口と入り口、どちらを封じるか、と言い換えることも可能だ。もちろん、サッカーは現実と同じで簡単には割り切れず、状況に応じて入り口でたたいたり、出口でたたいたりの合わせ技になることが多いのだが。

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