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チェンジアップ(豊田泰光)

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「あした、あした…」が心の薬

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2010/12/9 7:00
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外野フェンスに上り"本塁打"をもぎとった美技が、プロ野球の今季を代表する好プレーと評価され、表彰を受けた広島の天谷宗一郎が、面白いことを言った。

「捕れたからよかったが、もし(目測を誤って)打球が前に落ちていたら、大ひんしゅくだった」

怖いのはケガより、勇んでフェンスに上って、結果を伴わなかったときの恥ずかしさ、とはいかにも日本人らしい。

これがアメリカなら「下手だねえ」とは言われても、必死のプレーということで、責めたり恥じ入ったり、とはならないのではないか。

日本人は恥という感情を成長のバネにしている面があるが、一方で強すぎる恥の感覚により、回復不可能な心の傷を負うこともある。

西鉄時代から、1度のミスで一生浮かばれなくなった選手を何人もみてきた。

あのときの関口清治さん(のちの近鉄監督)も危なかった。西鉄リードの九回2死満塁で、左飛を落球した。走者一掃となり、逆転負け。

宿舎で泣いてわびる関口さんに、軍隊帰りの先輩などは「もしいくさであれば、部隊全滅を招くミスだ」という言い方で責めた。

責任感の強い関口さんは本当に死んじゃうんじゃないかと思うくらいふさぎ込んでいた。その後関口さんは勝負強い打撃で信頼を取り戻していったが、立ち直れたことの方が不思議なくらいだった。

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