卓球女子、果敢に挑み銀 中国の牙城は崩せず
ようやく9合目まで登ってきたと思ったら、そこから頂上までは切り立った崖だった。31年ぶりにその場所に立った日本が見たのは、昨日までとは別次元の光景。

中国はここまで7試合すべて3タテで勝ってきた。村上監督も「1人でも勝ちたいのが本音」と話していたが、世界ランキングのトップ3を並べてきた王者に対し、石垣が2011年世界女王の丁寧から1ゲームを取るのがやっと。石川はロンドン五輪金メダリストの李暁霞、平野は現世界ランク1位の劉詩●(あめかんむりに文)にストレートで屈した。
数字だけ見れば彼我の差は埋まっていなかったが、当人たちの感触は違う。「ロンドン五輪で対戦した時より自分のプレーができた」と石川。村上監督も「以前ならノータッチ、今日はラケットに当たっていた」。この1年、男子代表チームの面々と練習してきた成果はしかと見られた。石川がサーブからの3球目攻撃を生かして7-3とリードした第1ゲームを取っていれば、もう少し面白い展開になっていた。
現実を見据えれば中国の背中はまだ遠い。それを嘆くよりも、ロンドン五輪に続いて中国に次ぐポジションを確保したことを喜ぶべきだろう。福原愛を欠いた戦いで準々決勝、準決勝と際どい勝負を勝ち抜いた。地の利も組み合わせも味方しての勝ち上がりだった。
2年後のリオ五輪、その先の東京五輪に向けてまずは2番手の足場を固めることだ。幸い、今の日本には伸びしろがある。福原以外にも、ワールドツアーで最年少優勝を飾った平野美宇と伊藤美誠の中学2年コンビなど、今回のメンバーより世界ランクで上の選手が多くいる。中国がそうであるように、国内の競争があってこそレベルアップも進む。
(山口大介)