2019年7月21日(日)

国旗国歌訴訟 最高裁判決の要旨

2011/5/30付
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最高裁が30日言い渡した国旗国歌訴訟の上告審判決の要旨は次の通り。

公立高校での卒業式などの式典で「日の丸」掲揚と「君が代」斉唱が広く行われていたことは周知の事実で、国歌斉唱の際の起立斉唱は、一般的に式典における慣例上の儀礼的な行為としての性質を持つ。

起立斉唱はその性質上、元教諭の歴史観や世界観を否定することと不可欠に結び付くとはいえず、起立斉唱を求める職務命令は、歴史観や世界観自体を否定するとはいえない。

客観的に見ても、特定の思想を持つことを強制したり、これに反する思想を持つことを禁止したりするものではなく、特定の思想の有無について告白することを強要するともいえない。

起立斉唱の職務命令は、個人の思想、良心の自由を直ちに制約するとは認められない。

もっとも、日の丸、君が代に対して敬意を表明できないと考える者が、歴史観や世界観に基づかない行動を求められる点で、思想、良心の自由を間接的に制約する。

間接的な制約が許容されるかどうかは、職務命令の目的や内容、制約の態様などを総合的に比較して、許容できる程度の必要性と合理性が認められるかどうかという観点から判断すべきだ。

学校教育法は高校教育の目標として国家の現状と伝統についての正しい理解などを掲げ、学習指導要領も学校の儀式的行事の意義を踏まえて国旗国歌条項を定めている。

地方公務員の地位や性質、職務の公共性に鑑み、元教諭は法令や職務上の命令に従わなければならない立場にあり、地方公務員法に基づき、学習指導要領に沿った式典の実施の指針を示した通達を踏まえて、校長から本件の職務命令を受けた。

元教諭に対して卒業式での慣例上の儀礼的な行為として国歌斉唱の際の起立斉唱を求める内容で、国旗国歌法や学習指導要領の規定に沿っており、地方公務員の職務の公共性を踏まえ、生徒への配慮も含めた秩序の確保や式典の円滑な進行を図るものだ。

職務命令は、思想、良心の自由についての間接的な制約となる面はあるが、命令の目的や内容、制約の態様などを総合的に比較すれば、制約を許容できる程度の必要性と合理性が認められる。憲法19条に違反するとはいえない。〔共同〕

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