中学教科書、12年度から厚く 「脱ゆとり」で理科4割増

文部科学省は30日、2012年度から全国の中学校で使う教科書の検定結果を発表した。約40年ぶりに学ぶ内容を増やした新学習指導要領に対応し、全教科の平均ページ数は前回04年度検定に比べて24.5%増加。科学技術立国を目指す政府の方針に沿い、数学は同32.8%、理科は同45.2%もの大幅増になった。
学習内容を大幅に減らし、学力低下を招いたと批判された「ゆとり教育」路線から完全に転換。全9教科でページ数が増えた。4月から使われる小学校の教科書に続き、質量ともに充実した。

日韓両国が領有権を主張している竹島(韓国名・独島)や中国が領有権を主張している尖閣諸島(沖縄県)は、社会の教科書を発行する全7社が本文や地図に日本の領土と分かる形で記載した。
内容増に伴い過去の指導要領改訂で消えた項目が続々と復活。数学では「2次方程式の解の公式」、理科では「原子の周期表」「イオン」などが再登場し、英語で扱う単語数も1200語と現行より約3割増えた。
初登場したのは裁判員制度(社会)、新型インフルエンザ(保健体育)など。基礎的な事項の定着を図るため、下の学年で学んだことの復習や練習問題も手厚くなった。
文科省によると、複数の教科書会社が東日本大震災の記述を追加するための訂正申請を検討中。
教科書全体のページ数は学校週5日制が完全実施された02年度使用開始の教科書の1.35倍。中でも数学は1.63倍、理科は1.77倍に膨らんだ。同省は授業で教科書の内容すべてを教える必要はないとしている。