消費者団体訴訟制度、導入3年も普及遠く

2010/5/13付
保存
共有
印刷
その他

悪質業者などの不当な契約や勧誘行為に対し、消費者団体が被害者本人に代わって差し止め請求できる「消費者団体訴訟制度」(団体訴権)で、国が認めた適格消費者団体が全国で9団体にとどまっている。6月で導入から3年になるが、適格団体が起こした訴訟も計7件だけ。調査や訴訟の費用が団体の大きな負担となっており、関係者からは制度の見直しや財政支援を求める声が上がっている。

今年4月。賃貸住宅の借り主に退去後の補修費として一定額を負担させていた不動産会社に、契約条項の使用差し止めを求めた訴訟の控訴審で、大阪高裁は、不動産会社側に条項を使用しないよう命じた2009年9月の京都地裁判決を大筋で支持した。

提訴したのは適格団体の特定非営利活動法人(NPO法人)「京都消費者契約ネットワーク」(京都市)。消費者の情報提供を受けて提訴に踏み切った。賃貸住宅トラブルは少額被害が多く、消費者も泣き寝入りしがち。長野浩三事務局長は「制度の一つの成果」と語る。

ただ、こうした事例はまだ少数だ。消費者庁企画課によると、裁判外で適格団体が業者側に改善を求めた事例は集約していないものの、改善要求に応じない企業を提訴したケースは3年間で計7件にとどまる。適格団体も東北、四国、九州は空白地域で、消費者の訴えの受け皿となる団体がない状態だ。

「訴訟費用は1件200万円程度が必要。勝訴しても団体の持ち出しで、寄付や会費に頼る団体には負担が重い」と語るのはNPO法人「消費者機構日本」(東京・千代田)の磯辺浩一事務局長。07年8月、全国初の適格団体に認定されたが、訴訟実績はない。

同団体の年間予算は約1600万円。年間約150件の情報提供を受け、15件前後の改善要求を行っているが「相談事業や調査活動にも費用がかかり、訴訟に回す資金はほとんどない」(磯辺事務局長)。過去4件の訴訟を提起した京都消費者契約ネットワークも訴訟は弁護士の手弁当で行っているのが実態だ。

財政基盤の弱い消費者団体の支援を目的に、04年11月には「消費者支援基金」(東京)が発足したが、財源は当初集まった寄付金約3千万円頼み。「残りの資金を使い切ると、事業は休眠するしかない」(事務局)という。

09年9月施行の消費者庁設置法は付則で、施行後3年以内に適格団体への支援のあり方を見直し、必要な措置を講ずるよう定めており、本格的な議論が求められそうだ。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]