ダイエットしてもサルは寿命延びず 米研究所が実験
サルは食事でカロリー制限しても、ダイエットをしないグループと比べて寿命は延びなかったとの研究結果を、米国立加齢研究所などのチームが30日付の英科学誌ネイチャーに発表した。コレステロール値が下がるなど健康状態は改善した。
マウスではカロリー制限によって寿命が延びることが分かっており、より長生きの人間や、人間に近いサルで同じ効果があるか注目されてきた。チームは「霊長類がカロリー制限によって寿命が延ばせるかどうかは、環境や食事内容などさまざまな要因が影響するのではないか」としている。
チームは実験動物のアカゲザルで、カロリーを20%ほどカットしダイエットした場合と、しない場合を20年以上にわたり観察、比較した。両者に寿命の違いはなく、寿命は延びないとの結論となった。
しかしダイエットに何の効果もないわけではなく、オスに限ると、ダイエットした場合は血中のコレステロールの値が下がったほか、若いサルでがんの発生率が減ったりするなど、健康状態には差が出た。また、統計的には確証とはいえないが、ダイエットをすると平均でメスが28歳、オスは35歳まで生き、飼育されたアカゲザルの一般的な平均寿命の27歳を超え、長生きする傾向があった。
別の研究ではダイエットでアカゲザルの生存率が上がったとの結果もある。チームは「複数の研究を比較し、どのような仕組みが働いているか調べることが重要」としている。〔共同〕