特定失踪者の解明進むか 警察庁対象者は860人
北朝鮮の調査で
北朝鮮は今回、拉致被害者だけでなく、拉致された可能性が否定できない「特定失踪者」も調査することに合意した。北朝鮮が調査したことはないだけに、特定失踪者の行方の解明につながるか注目される。
北朝鮮が初めて日本人の拉致を認めた2002年の日朝首脳会談で、政府が事前に把握していなかった拉致被害者が判明したため、拉致の可能性がある失踪者の調査が始まった。
警察庁は「特別指導班」を昨年3月に設置し、調査体制を強化。政府が拉致された疑いがあるとしている860人について家族の同意が得られた人から順次、ホームページ(HP)に情報を掲載している。現在、405人分の顔写真や行方不明になった際の状況がリスト化された。
特別指導班は、わずかな手掛かりを求め、関係者への面談や、行方不明になった際の足取りの洗い直しなどを全国で実施している。ただ、ほとんどが数十年以上前の出来事だけに「有力な手掛かりを得るのが難しい」(同庁)のが現状だ。
「特定失踪者問題調査会」の荒木和博代表は今回の日朝合意について「北朝鮮はこれまで調査に消極的だったのでどこまで本気なのか疑問だ」と強調。その上で「すべての拉致被害者が帰国するまで解決とはいえない」と今後の推移を見守る考えを示した。