2019年2月24日(日)

政府、和解拒否を表明 イレッサ訴訟「違法性ない」
2月大阪地裁、3月東京地裁で判決

2011/1/28付
保存
共有
印刷
その他

肺がん治療薬「イレッサ」の副作用を巡る訴訟で、政府は28日、東京、大阪両地裁が7日に提示した和解勧告を受け入れないと発表した。細川律夫厚生労働相は「(和解勧告で指摘する)国の違法性はない」としたうえで「手つかずの論点も多く、判決で問題点を指摘してもらう」と説明した。抗がん剤を対象とする副作用被害の救済制度の創設は検討する。

東京、大阪両地裁の和解勧告の受け入れ拒否を発表する細川律夫厚生労働相(28日、東京・霞が関の厚生労働省内)

和解勧告に対して原告側は受け入れを表明していたが、被告の製薬企業「アストラゼネカ」(大阪市)は24日に拒否している。このため大阪地裁は2月25日、東京地裁は3月23日に判決を出す見通し。

両地裁は和解勧告で、承認前の治験や治験外使用の結果から、副作用の間質性肺炎に対する国の注意喚起が不十分だったと指摘。国と製薬企業は、承認から約3カ月後の2002年10月15日に緊急安全性情報を出すまでに投与されて間質性肺炎となった患者に対する救済責任があるとした。

これに対し、細川厚労相は「間質性肺炎はイレッサの添付文書の『重大な副作用』に記載しており、国に責任があったといえない」と反論した。医師から副作用について説明を受けずに投与されて間質性肺炎となった患者については「現場の当事者間の問題」として、医師に責任があることを示唆した。

さらに「和解勧告の趣旨を推し進めれば、承認前に治験外で投与した患者に対する副作用を厳格に審査すべきだということになる」と指摘。「治験外使用がより限定的となり、その結果、治療が難しいがん患者らにとって、最後のよりどころが限られる」と述べ、今後、がん患者に与える影響が大きいと判断したという。

両地裁は7日に和解を勧告し、28日までに回答するよう求めていたが、細川厚労相は「検討期間が極めて短く、医療現場や原告、被告の製薬企業との間で合意に至ることは困難」と説明。そのうえで「手つかずの論点を多く残したまま、和解協議に入るよりも、判決で問題点を指摘してもらい、丁寧に制度のあり方を模索したい」と述べた。

一方、原告側が求めていた抗がん剤による副作用被害の救済制度の創設については「患者や家族の心情を受けとめ、国民の合意を得るべく、十分検討を尽くしたい」として創設を検討することを明らかにした。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報