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「自殺」→「自死」言い換え相次ぐ 自治体、遺族感情に配慮

公文書などで自殺を「自死」と言い換える自治体が相次いでいる。「『自殺』には命を粗末にした、という印象があり、残された者が一段と傷つく」との声が一部の遺族から上がっているためだ。ただ、支援団体などからは「イメージを和らげることになり、予防の観点からは良くない」との意見もあり、議論が続いている。

宮城県は1月、公文書や啓発文書などで、原則として自殺を自死に言い換えることを決めた。同県障害福祉課は「『殺す』という表現に心を痛めている遺族からの訴えに配慮した」と説明する。

言い換えの先駆けとなったのは島根県。昨年3月、遺族団体からの要望を受け、自殺対策総合計画を「自死対策総合計画」と変更するほか、公文書などで「自殺」を使わず、「自死」と表記することを決めた。鳥取県も昨年7月に同様の変更を決めた。

遺族ら約1700人でつくる全国自死遺族連絡会(仙台市)は2010年から自治体などに言い換えを呼び掛けてきた。自らも05年に長男を亡くした田中幸子代表(64)は「追い込まれて命を絶つしかなかったケースが多いのに、自殺という呼称は『命を粗末にした』『勝手に死んだ』という誤解を招き、遺族を一段と苦しめる」と訴える。

一方、全国自死遺族総合支援センター(東京・千代田)は昨年10月、一律の言い換えでなく、状況に応じた使い分けを提案するガイドラインを発表。遺族・遺児に関する表現は自死とする一方、予防対策などでは「自殺防止」といった表現を残すべきだとしている。

04年に夫を亡くした南部節子事務局長(69)は「『自死』という表現は過酷な現実をオブラートに包んでしまう面があり、死に対するハードルが下がりかねない」と懸念する。

自殺対策に取り組むNPO法人「ライフリンク」の清水康之代表も使い分けを支持、「こうした議論を通じて、誤解や偏見に苦しむ遺族への理解を深めるきっかけにしたい」と話している。

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