抗がん剤取扱者の健康被害防ぐ 医師や看護師が協議会
抗がん剤を取り扱う医療従事者の健康被害を防ごうと、医師や看護師、薬剤師らが「抗がん剤曝露(ばくろ)対策協議会」を設立し、危険性に関する啓発や汚染対策などの活動方針を28日までに公表した。
抗がん剤は主に点滴で投与され、がん細胞だけでなく正常な細胞に対しても強い毒性がある。点滴液の交換時や患者の排せつ物の処理の際に触れたり揮発物を吸い込んだりして体内に入り、健康被害を起こす恐れが指摘されている。海外では看護師の血液中の白血球でDNA損傷が増えたとの報告もあるという。
協議会は今後、薬液が外部に漏れにくい器具を使用したり、ガウンや手袋の着用を徹底したりする安全対策を進めるよう呼び掛ける。
病棟の汚染状況や健康被害の実態調査もしたいとしている。
抗がん剤の運搬や投与を担当することの多い看護師に対策の必要性が十分に知られていないという。協議会理事長の垣添忠生国立がん研究センター名誉総長は「在宅医療で抗がん剤を使うケースも増え、家族が薬剤にさらされることもある。医療従事者に限らず、対策の意識を高めていきたい」と話した。〔共同〕