「自助具」広く知って 製法などネットで共有
高齢化や障害などで体が不自由な人のための生活便利用具「自助具」を広く知ってもらおうと、製品や製作方法を紹介したインターネット上のデータベースづくりが始まった。利用者が自助具を欲しくても製作団体の所在地に偏りがあり、普及が進んでいなかった。市民向けのPR企画も行われ、これらを突破口に普及に拍車が掛かるのではと関係者の期待が高まっている。
介護・福祉用具の普及啓発を図る公益財団法人「テクノエイド協会」(東京)は自助具の製作団体などと連携し昨年12月から、ホームページ上でデータベースの運用を開始した。簡易筆談帳やバネ箸などの既製品、個別のニーズに応じた特注品計約150点を紹介し、順次更新して数を増やしている。既製品については販売元の、個人用に製作、改良したい人のためには全国約40カ所の工房の連絡先を紹介している。
データベースでは既製品と特注品に分かれ、食事や入浴、排せつや家事などの用途・場面別からも検索ができる。それぞれ詳しい説明が記載され、特注品は製作方法まで紹介されている。各地の工房での、工夫を凝らした製作の知恵とノウハウが集められた形だ。
データベースづくりと並行し、市民に向けたPRも本格化。静岡市や名古屋市、北九州市などで取り組みが進んでいる。「福祉用具プラザ北九州」の工房では市民に身近に感じてもらうため月1回、自助具づくりのワークショップを開催。有馬ヨシエさん(77)は病気で手足が不自由だが、「障害の程度は人によって違うので、既製の自助具をわたし用に改良してもらい、助かっています」と笑顔で話す。
同協会の五島清国さんは「自助具や製作方法をデータベースで紹介するとともに、各地での普及活動を進めることで、自助具が身近な存在になり、多くの人の『自立』につながってほしい」と話している。問い合わせはテクノエイド協会、(電)03・3266・6883。〔共同〕