2019年7月17日(水)

地方テレビ局発ドキュメンタリー映画相次ぐ 基地や被曝など

2013/10/7付
保存
共有
印刷
その他

地方テレビ局が制作したドキュメンタリー番組が、映画として全国公開される動きが広がっている。従来は他地域で見られる機会がほとんどなかったが、映画化を機に人気が広がり、全国で100カ所以上の自主上映会につながった例も。制作者らは「地方で掘り起こされた事実や社会問題を、全国に伝えられる道が広がった」と意気込みを新たにしている。

映画化の先駆けとなったのは東海テレビ放送(名古屋市)が2011年に作った「平成ジレンマ」。1980年代に体罰事件で社会問題にもなった戸塚ヨットスクールの現状を追った番組を、映画に再編集した。全国のミニシアターなど19館で公開。カナダのモントリオール世界映画祭にも招待される評価を受けた。

「1作目の成功で、各地の映画館など映画関係者とのつながりができた」と、同局は今年までにさらに4番組を映画化。他の地方局にも追随する動きが出た。12年にかけ毎日放送(大阪市)や中部日本放送(名古屋市)などもドキュメンタリー映画を相次ぎ発表。琉球朝日放送(那覇市)が米軍基地問題をテーマに作った「標的の村」も8月から全国で順次公開されている。

映画館での公開にとどまらず、草の根的な人気を得る作品も生まれた。南海放送(松山市)が昨年9月に公開した「放射線を浴びたX年後」は、市民団体や学校などから「上映したい」と希望が殺到。今年初めから自主上映会が全国100カ所以上で開かれている。

50年代に米国がビキニ環礁など南太平洋で行った核実験での被曝(ひばく)実態を掘り起こした同作品。伊東英朗ディレクター(53)が「『第五福竜丸』以外の日本の多くの漁船も被曝した事実が忘れられている」と04年から取材した。「テレビ番組としては愛媛県内の深夜の放送であまり視聴者の目に触れなかったが、映画化で一気に反響が広がった」と喜ぶ。

ドキュメンタリー番組は予算や手間がかかり、地方局では年に数本しか作られないのが実情。大半は各局で1、2回の放送で終わる。評価が高いと系列局の全国ネットで流れることもあるが、「標的の村」や「放射線を浴びたX年後」でも内容の一部が深夜に全国放送されただけだった。

これまで5つの番組の映画化を手掛けた東海テレビ放送の阿武野勝彦プロデューサー(54)は「各地方での報道にとどまっていた社会問題などが、映画館という"窓"を通じて全国に伝えられるようになる意義は大きい」と指摘。「取材側の意識も高まる」と話す。

ドキュメンタリー映画を多く上映する映画館「ポレポレ東中野」(東京・中野)の大槻貴宏支配人(46)は、こうした地方テレビ局発の映画を「新しいひとつの流れ」と評価。「映画化そのものに満足するのでなく、各局が競っていい作品を送り出し続けてほしい」と話している。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。