大阪の母子殺害、死刑判決を破棄差し戻し 最高裁

2010/4/27付
保存
共有
印刷
その他

大阪市平野区で2002年、主婦の森まゆみさん(当時28)と長男の瞳真ちゃん(同1)が殺害された事件で、殺人罪などに問われたまゆみさんの義父だった刑務官(休職中)、森健充被告(52)の上告審判決で、最高裁第3小法廷(藤田宙靖裁判長、退官のため堀籠幸男裁判官代読)は27日、「事実誤認の疑いがある」として、一審の無期懲役と二審の死刑判決を破棄し、審理を大阪地裁に差し戻した。

二審の死刑判決に対し被告の無罪主張を受け入れ二審を破棄し、差し戻したのは元タクシー運転手が殺害された「山中事件」以来21年ぶりで、戦後7件目。検察側が差し戻し審で新たな証拠を示せない限り、逆転無罪となる公算が大きくなった。判決は5裁判官中4人の多数意見。

事件では犯行を裏付ける直接証拠がなく、間接事実の積み上げで有罪立証できるかが争われた。

同小法廷は判決理由で、被告を犯人としても矛盾しない事情のほかに、「『被告を無実とすると、合理的な説明が付かない事情』が必要」とし、両面から慎重な検討が必要との判断基準を示した。

そのうえで、一、二審で有力視された、現場近くの灰皿で発見された吸い殻のだ液と森被告のDNA型が一致した間接事実について、「吸い殻がかなり以前に捨てられた可能性がある。事件当日に犯行現場に赴いたとは認定できない」と判断した。

また、犯行動機がはっきりしないことなど、「一審で示された間接事実のみで有罪と認定するのは著しく困難」とし、さらに他の証拠も検討するよう差し戻した。

反対意見を出した堀籠幸男裁判官(裁判官出身)は、「被告が犯行に関与していることに合理的疑いはない」と述べた。

05年の一審・大阪地裁判決は、間接事実について「全体として考察すれば、各事実は相互に関連し合い、信用性を補強しあっている」と認定。被告の犯行と断定、無期懲役を言い渡した。

06年の二審・大阪高裁判決も「被告人の犯行と強く推認される」としたうえで、一審判決を破棄し、死刑を言い渡し、弁護側が上告していた。

一方、殺害された森まゆみさんの母、明石隆子さん(60)は27日、「最高裁でも死刑判決を確信していた。裁判の手続きなので、私たちの力ではどうしようもない。娘も泣いていると思う」とコメントした。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]