袴田事件、再審を決定 静岡地裁「証拠捏造の疑い」 - 日本経済新聞
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袴田事件、再審を決定 静岡地裁「証拠捏造の疑い」

(更新)

1966年に静岡県清水市(現静岡市清水区)で一家4人を殺害したとして、80年に強盗殺人罪などで死刑が確定した元プロボクサー、袴田巌元被告(78)の第2次再審請求審で、静岡地裁(村山浩昭裁判長)は27日、再審開始を認める決定をした。刑の執行と拘置を停止し、釈放を認めた。

死刑が確定した事件の再審開始決定は、取り消された名張毒ぶどう酒事件を含めて6例目。法務省によると、死刑囚の再審開始決定で拘置停止が認められたのは初めて。

検察側が即時抗告が可能で、静岡地検は「上級庁と協議する」としている。

第2次請求審では、犯人が着ていたとされたシャツに付いた血液のDNA型が袴田元被告と一致しないとの鑑定結果が出た。

村山裁判長は決定理由で、DNA鑑定結果を「無罪を言い渡すべき明らかな証拠に該当する」と評価。事件の1年余り後に発見され、有罪の最有力証拠とされたシャツなどの衣類について「捏造(ねつぞう)されたものであるとの疑問は拭えない」と批判した。

さらに「捜査機関によって捏造された疑いのある証拠によって有罪とされ、死刑の恐怖の下で拘束されてきた」と指摘。「これ以上拘束を続けることは耐え難いほど正義に反する」として拘置停止を認めた。

確定判決では66年6月30日、清水市のみそ製造会社の専務宅で一家4人を刺殺し、現金を奪って放火したとされていた。

袴田元被告は同年8月に逮捕され、公判では一貫して否認。死刑確定後の第1次再審請求は2008年3月に最高裁で退けられ、翌月に姉の秀子さん(81)が第2次請求を申し立てていた。

▼袴田事件 1966年6月30日未明、静岡県清水市(現静岡市)のみそ製造会社専務宅が全焼し、一家4人の他殺体が見つかった。県警は同年8月、従業員の袴田巌元被告を強盗殺人容疑などで逮捕。袴田元被告は公判で無罪を主張したが、静岡地裁は68年に死刑を言い渡し、80年に確定した。第1次再審請求は2008年に最高裁が特別抗告を棄却。同年に姉の秀子さんが第2次再審請求を申し立てた。

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