/

紅白、愛菜ちゃんと福君は何時まで出演できる?

労基法上は午後8時まで 特例も業界は厳しめ対応

今年も残りわずかとなり、大みそか恒例のNHKの紅白歌合戦が近づいてきた。注目の出演者の一角は、ドラマやCMに引っ張りだこの子供タレント、芦田愛菜ちゃん(7)と鈴木福君(7)。子供タレントの活躍がめざましい昨今だが、一方で「子供が夜遅くまで出演して大丈夫なのか」との疑問も浮かぶ。あの愛らしいダンスと歌声を楽しむことができるのは何時までなのか――。

「光GENJI通達」

労働基準法では、義務教育修了前の子供の場合、労働の上限を午後8時としている(演劇に限り午後9時まで)。1999年には、高校1年の女性タレント(当時15)をラジオの深夜番組に出演させたとして、大阪府警が大手芸能プロダクションなどを労基法違反(未成年者の深夜労働の禁止)の疑いで書類送検した事件もあった。

ただ、実は午後8時までというルールには特例がある。その根拠となっているのが、1988年に旧労働省労働基準局長が示した考え方で、通称"光GENJI通達"。

「当時人気の光GENJI(メンバーに中学生がいた)が夜の番組に出演できるかどうかの判断を示した」(厚生労働省監督課)もの。時間当たりの賃金が決められ雇用主による指揮・監督下に置かれる「労働者」に該当しないタレント、つまり法律で定める労働時間に縛られないタレントの基準を示している。

具体的には、そのタレントとの契約が雇用契約ではなく報酬額が出演時間に左右されないことや、歌や演技が他のタレントでは替えが利かないレベルにあること、人気が高いことなどだ。つまり、人気タレントや大物俳優は、出演の可否や時間を強制されずに自ら管理できるとみなされ、法律上の「労働者」ではなく、出演時間の制限も受けないのだ。

愛菜ちゃんと福君は6番目

では愛菜ちゃんや福君はどうか。NHKは「個別の事情には回答しない」というものの、「2人が労働者にあたらないかどうかについてはNHKとしては判断していない」(広報担当者)との姿勢だ。2人が光GENJI通達の対象か否かにかかわらず、午後8時までの出演スケジュールであれば「どういう判断がされても法令違反にはならない安全なライン」(同)ということだ。

今回午後7時15分にスタートする紅白で、愛菜ちゃんら2人の順番は6番目。出演までの間にはいくつかのコーナーを挟むが、NHKは「2人を含め小中学生の出演は午後8時までにすべてのスケジュールが終わるようにしている」という。

過去の紅白でSPEEDやモーニング娘。の一部メンバー、大橋のぞみさん(12)が出演した際も同様で、NHKではすべての子供タレントに対して、他番組でも同様のスケジュールにしているという。厚労省監督課の担当者は「労働者に該当するかどうかの判断に踏み込まず、社会常識に照らして活動しているのが実態のようだ」と指摘する。

「無理のない活動を」

子供のタレントやモデルが数多く所属する都内の芸能プロダクションの30代の女性マネジャーも「他のテレビ局や劇団でも『仕事は原則は午後8時まで』ということが徹底されつつある」と話す。撮影などでやむを得ずスケジュールが多少遅れた場合には、必ず親に現場に来てもらうようにしているといい、子供タレントの活動時間に神経をとがらせている様子もうかがえる。

ただ、厚労省の村野伸介中央労働基準監察監督官は「労基法に抵触しなければ、どれだけ働いても良い、とは必ずしも言えない」と話す。村野監督官は「児童福祉の観点から見れば、やはり過度の活動は望ましくない。子供の生活や健康を最優先に考えて無理のない範囲で活動してほしい」と訴えている。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン

権限不足のため、フォローできません