空腹クマ出没注意 全国の人里で目撃急増
ブナの実不足が拍車?

2012/10/2付
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人里近くに出没するクマが全国で急増している。東北では今春以降、前年の2倍以上のペースで目撃されており、関東でも群馬などで多い。この秋は餌になるブナの実の生育が悪く、さらに出没が増える懸念もある。自治体などは対策に動き出したが決定打はなく、注意を呼び掛けている。

群馬県沼田市に出没したツキノワグマ=群馬県鳥獣被害対策支援センター提供

群馬県沼田市に出没したツキノワグマ=群馬県鳥獣被害対策支援センター提供

前橋市の畜産農家、中沢真一郎さん(52)は8月、牛の餌にするトウモロコシの畑で、大型のクマが腹ばいになって実を食べているのを目撃した。「視界の端に入った途端、走って引き返した。怖くて直視できなかった」と振り返る。トウモロコシを食べられたり、倒されたりする被害は、イノシシによるものも合わせ、昨年の2倍の約1ヘクタールに広がったという。

環境省によると、4~8月のクマの目撃件数は全国で8382件(暫定値)。前年同期は5150件で60%増。東北6県は前年同期の1618件から3680件に急増。関東では群馬県で540件が目撃され、東京都でも昨年の8件から17件に増えている。

出没が増えた理由について、森林総合研究所(茨城県つくば市)の鳥獣生態研究室長、大井徹さん(54)は「餌になる草や木の芽、昆虫の繁殖の状況が関係するのではないか」と分析するものの「はっきりした理由は分からない」という。

クマが冬眠に備え食料を蓄える秋は、例年でも人里への出没が増える。さらに関係者が懸念するのが餌になるブナの実の不作。林野庁東北森林管理局は7月に「今秋は大凶作」と予測し、特に岩手、山形両県は2006年、秋田は10年以来の「皆無」と見込む。環境省の鳥獣保護業務室は「出没数が多かった10年と似た状況。今後いっそう注意が必要」と指摘する。

8月までに昨年の2倍以上の296件が目撃された山形県は、過去5年間の出没件数をホームページに掲載し「今年は特に出没が多いので注意してほしい」(県みどり自然課)と呼び掛けている。8月に目撃された神奈川県秦野市は、出没した場合の児童の下校方法などを検討する。

出没を防ぐ決定策はない。兵庫県森林動物研究センター(丹波市)の森林動物専門員、稲葉一明さん(53)は「クマは本来、臆病な動物。山や森林を歩くときは鈴やラジオなど音の出る物を身につけて自分の存在を知らせるなどし、もし遭遇しても大声を出さずに冷静にその場から離れてほしい」と話している。

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