福島観光、国がテコ入れ 料理やドラマ…イベント支援
観光庁は福島県の観光客誘致をてこ入れする。原子力発電所事故の風評被害などで同県の観光目的の宿泊者数は震災前の約7割と低調。同庁として前例がない特定の自治体への支援に踏み切る。イベント費用を補助するほか、専門家も紹介。福島県が開催を検討するご当地グルメやドラマなどを売りにしたイベントを手助けし、復興への足がかりとする。

新たな施策では、福島県が2013年度に開催する観光関連イベントの費用の8割を補助する。その原資として復興庁が13年度予算の概算要求に7億2100万円を盛り込んでいる。
観光庁が期待をするのは、ご当地グルメで町おこしを目指す団体の祭典「B-1グランプリ」のような「単発に終わらない継続的なイベント」(同庁の担当者)。そのためには地域の産業を担う若手などが集まって、組織をつくる必要があるとみる。
同庁は地域づくりや組織づくりのほか、観光の目玉を見いだす専門家などを紹介することで、イベントを後押し。軌道に乗れば、海外にも展開する方針だ。
福島県でも国の支援に対する期待が高まっている。具体的なイベントは今後、同庁と協議して決めるが、県職員が国内外を訪れて魅力をアピールするほか、同県へのツアーにかかる費用を一部補助して、各地の観光担当者を呼び込むことも考えている。
福島県が主な舞台となる来年のNHK大河ドラマ「八重の桜」や、ご当地グルメとして人気の「なみえ焼きそば」などに着目した企画も検討。「積極的に売り込んで観光客を呼び込む」と同県の吉田孝観光交流課長は意気込む。
観光庁によると、今年4~6月、観光目的で福島県に宿泊した人は10年同期と比べ25.6~33.1%減の状態。外国人観光客数などは改善しつつあるが、風評被害が依然として深刻な影響を与えている。一連のてこ入れによって、震災前の水準への早期回復を目指す。