2019年7月24日(水)

原発3キロ圏内、初の一時帰宅 住民「いつ戻れるのか」
福島県双葉・大熊両町

2011/8/26付
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福島第1原子力発電所事故以来、初めての我が家へ――。26日、福島県双葉、大熊両町で原発から3キロ圏内の住民の一時帰宅が始まった。しかし、政府は警戒区域のうち放射線量の高い所は長期間、立ち入り禁止とする方針。「帰る喜びはあるが、いつ戻れるのか」「数十年は住めないかも」。5カ月半前、取る物もとりあえず避難した住民らは、複雑な表情を浮かべた。

3キロ圏内の一時帰宅のため、防護服姿でバスに乗り込む双葉町の住民(26日午前、福島県広野町)=写真 玉井良幸

雨が降りしきる中、一時帰宅の中継会場となった福島県広野町の中央体育館には、午前8時ごろからバスや自家用車で双葉、大熊両町の住民が続々と到着。「仏壇に供えたい」とカーネーションを手にしたり、「冬服を持って帰りたい」と大きな袋を携えたりする人もいた。

会場で受け付けを終えた住民らは、避難で散り散りとなった懐かしい顔との久しぶりの再会に喜ぶ様子も。帰宅の際の注意事項などの説明を受けて、防護服に着替えた。

自宅が原発から約2キロという東北電力の子会社社員の舘林孝男さん(57)は妻(47)と共に参加。アルバムや預金通帳などを持ち出すほか、高齢のため同行を断念した父(80)のため、自宅の様子を写真に収めるつもりだ。

原発から3キロ以内の一部を長期間、立ち入り禁止とする政府方針を受け「『双葉町では将来を送れない』との現実を突きつけられての一時帰宅。帰る喜びがある一方、やりきれない思いもある」。

現在は両親、妻の4人で白河市の借り上げ住宅で避難生活。原発事故の賠償請求のメドが立つまでは休職すると決めているが、それ以降は白紙だ。「定住先などを考え出したら双葉町に帰れないと認めることになる。あえて将来は考えないようにしている」と話した。

原発から約2キロに自宅があり、現在は福島県須賀川市のアパートに暮らす無職、高島学さん(60)は日記やファクスなどを持ち出す予定。「双葉町には数十年は住めないだろう」と町に戻ることはあきらめ、今後は須賀川市で厚生年金を頼りに生活するつもりだ。

事故後初の帰宅を前に、「戻って住むのは無理と頭では思っていても、理屈抜きに住み続けたくなるかもしれない」と揺れる心境を明かした。

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