黒潮大蛇行の冬、東京に雪多く 鹿児島大など分析
低気圧のコース変化
日本の太平洋沿岸を北上する黒潮が東海沖で南に大蛇行する冬は、低気圧のコースが沖合にずれ、東京で雪が降りやすくなるとの研究結果を、鹿児島大の中村啓彦准教授と北海道大の見延庄士郎教授のチームが2日までに発表した。
暖流の黒潮は数カ月から数年ごとに東海沖を直進したり大蛇行したりする。黒潮の経路に従って海面水温の分布が変わり、その海上の気象が変化するのは知られていたが、上空を通る低気圧に影響が及び、陸地の天候を特徴付けているのを示したのは初めてという。
チームは1969年11月~2007年3月の冬の気象データを分析。黒潮の経路と、東シナ海で発生し、本州の南や東の海上で発達して荒天をもたらす「南岸低気圧」のコースを調べた。
すると、黒潮が直進したときは、南岸低気圧のコースは本州の太平洋岸沿いに集中したが、大蛇行のときは、東海沖で岸から大きく離れ、沖合に分散する傾向があった。また大蛇行の期間に南岸低気圧は58回現れ、このうち東京で雪が降ったのは12回だったが、直進の期間にあった25回ではゼロだった。
南岸低気圧が沖合だと東京付近は北から吹き込む風で気温が下がる上、大蛇行により東海沖に現れる冷水域の影響で大気が暖まりにくくなり、東京に降雪をもたらすとみられる。
地球温暖化が進むと黒潮の大蛇行は起きにくくなるとの予測があり、中村准教授は「将来東京で雪が降る回数は減るかもしれない」と話している。〔共同〕