建設アスベスト訴訟、原告が全面敗訴 横浜地裁

2012/5/26付
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建設現場でアスベスト(石綿)を吸い込み、肺がんなどを発症した神奈川県の建設労働者や遺族計87人が、国と建材メーカー44社に総額約29億円の損害賠償を求めた集団訴訟の判決で、横浜地裁(江口とし子裁判長)は25日、請求を全面的に棄却した。原告側は控訴する意向。

同様の訴訟は札幌や大阪など6地裁で400人以上が係争中で、今回が初の司法判断だった。

判決理由で江口裁判長は、日本で石綿の発がん性の認識が高まったのは国際労働機関(ILO)などが示した1972年と認定。国の規制措置について「少量の暴露でも発症することは知られておらず、当時の知見などに照らすと著しく合理性を欠くものであったと認めることはできない」と判断した。

一方で国が建築作業に特化した石綿対策を取ってこなかったと指摘。「補償制度の創設について再度検証の必要がある」として、国に被害対策の再考を求めた。メーカーの責任については「建材と被害との因果関係を認められない」と退けた。

原告らは主に60年以降、約20~40年にわたり神奈川県などで石綿を含む建材を扱い、健康被害があった大工や配管工らとその遺族。1人当たり3850万円の賠償を求め、2008~10年に2回にわたり提訴した。

石綿訴訟では、吸った場所が明らかな工場労働者らの場合、雇用主側に賠償を命じるのが定着している。今回の訴訟は建設現場を渡り歩き、時期などの特定が困難な労働者らが訴えていた。

原告側は閉廷後、記者会見し「被害実態を受け止めていない不当判決」と反発した。〔共同〕

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