全A型インフルに作用する抗体発見 藤田保健衛生大など
「H1」や「H3」などの型にかかわらず、すべてのA型インフルエンザウイルスに作用する抗体を、藤田保健衛生大(愛知県豊明市)などの研究チームが発見し、25日までに米科学誌ジャーナル・オブ・ビロロジー(電子版)に掲載された。
藤田保健衛生大の黒沢良和教授は「流行が予想されるどのウイルスにも作用する予防薬の開発につながる重要な発見」としている。
インフルエンザの感染は、ウイルスの表面にあるタンパク質「ヘマグルチニン分子」と人間の細胞にある「シアル酸」が結合することで起きる。
人への感染が懸念されるウイルスの型は、へマグルチニン分子のアミノ酸配列の違いで「H1、H2、H5」と「H3、H7」の2グループにほぼ大別できる。一度免疫ができて抗体が結合を阻害しても、ヘマグルチニンのアミノ酸配列を変異させ、抗体の"攻撃"を避けるようになるため、2つのグループに同時に作用する抗体はないとされてきた。
研究グループは、年齢の異なる3人の血液からさまざまな抗体を取り出し、どの型のウイルスに作用するかを解析。うち1人からどちらのグループのウイルスにも作用する抗体を発見した。
さらに、この抗体がヘマグルチニン分子のどの部分に作用するかを調べたところ、どの型のウイルスにもヘマグルチニン分子が変異しにくい部分があり、抗体はこの部分に作用していることが推定できた。〔共同〕