ブラックホールに吸い込まれる星、初観測 JAXAなど
宇宙空間にあるブラックホールに星が吸い込まれていく様子をとらえることに、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と理化学研究所、東京工業大学などの国際チームが世界で初めて成功した。国際宇宙ステーションにある日本実験棟「きぼう」の観測装置と米国の衛星を組み合わせて、星が吸い込まれた際に出る強いX線の光を観測した。
ブラックホールの性質など宇宙の謎を解き明かす手がかりになる成果。論文が英科学誌ネイチャー(電子版)に25日、掲載される。

3月28日に米国の天文衛星「スウィフト」が、地球から39億光年離れた銀河の中心から突然強いX線が出て明るく輝くのをとらえた。「きぼう」にある全天をX線で観測できる装置「MAXI(マキシ)」でも2時間半後に同じ場所でX線を確認。MAXIの過去の観測データから、この場所はそれまでX線を出していなかったとわかった。
分析の結果、銀河の中心に巨大なブラックホールがあり、太陽のような恒星が吸い込まれたときに高速のガスが噴き出る「ジェット」と呼ぶ現象をとらえていたと判明。ブラックホールの半径は5000万キロメートル前後で、地球から太陽までの距離のおよそ3分の1に相当する。ジェットからのX線はその後、100日以上かけてゆっくり弱くなっていった。
これまで、星が吸い込まれた後のX線をとらえた例はあったが、ブラックホールが星を吸い込んで急激にX線を出す様子をとらえたのは初めてという。