海外経験の夢砕く ルーマニア邦人女子大生殺害

2012/8/23付
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東京都内の大学生、益野友利香さん(20)がルーマニアで殺害された事件は、海外で就業経験を積もうとした若者の夢を無残にも砕き、現地社会にも大きな衝撃を与えた。

首都のブカレスト空港から車で約5分の、両側を森に囲まれた幹線道路。今月17日、道から数メートル入った森の中で益野さんの遺体が発見された。昼間でも寂しい場所で、近隣の住民は「(犯行があった)夜間はほとんど人通りがない」と話す。

益野さんは国際学生団体「NPO法人アイセック・ジャパン」の仲介で、海外インターンシップの一環として南部クラヨバで日本語を教える予定だった。

地元メディアや検察当局によると、益野さんは今月15日午後8時すぎにブカレスト空港に到着。同8時半ごろ、殺人容疑で逮捕されたニコラエ・ブラッド容疑者(25)と一緒にタクシーに乗り込むところが防犯カメラの映像に残っていた。

同容疑者はタクシーを探すのを手伝うと言って近づき、クラヨバ行きの電車が出る駅とは反対方向に車を走らせた。現場近くのバス停前でタクシーを降り、犯行に及んだとみられる。

ブラッド容疑者は容疑を否認。しかし検察当局によると、益野さんの携帯電話を所持し、デジタルカメラを転売していたほか、遺体に残された組織の一部のDNAと同容疑者のものが一致した。裁判で有罪になれば最高で終身刑が言い渡される見通し。

益野さんの遺体は遺族に付き添われ、21日にブカレストを後にした。

ルーマニアは1人当たりの国民総所得が8千ドル(約63万円)未満と、欧州連合(EU)加盟国の中でも最低水準で、治安も決して良いとはいえない。しかし外国人が凶悪犯罪に巻き込まれることは珍しく「10年に一度の大事件だ」(地元タクシー運転手)などと、地元メディアでも連日大きく取り上げられている。

益野さんは短文投稿サイトのツイッターで「ルーマニア着いてから一人で深夜電車に3時間乗らなきゃだから、それが最大の不安」「たどり着けたら奇跡だと思う」(原文のまま)などとつづっていた。

ブカレスト空港のバレンティン・イオルダキ広報部長は「(犯罪者を含め)誰でも出入りできるのが空港の現実。迎えがあった方が良かったかもしれない」と話す。

アイセックは「本件に関して一切の説明を差し控えさせていただきます」とのコメントを発表した。(ブカレスト=共同)

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