2019年6月26日(水)

イレッサ、国にも責任 東京地裁が1760万円支払い命令

2011/3/23付
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肺がん治療薬「イレッサ」の副作用を巡り、東日本の死亡患者3人の遺族計4人が、国と輸入販売元の製薬会社「アストラゼネカ」(大阪市)に総額7700万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は23日、患者2人について国と同社の責任を認め、計1760万円を支払うよう命じた。松並重雄裁判長は「国は安全性確保のための行政指導が不十分だった」と述べた。厚生労働省とア社は控訴の方向で検討に入った。

イレッサの副作用を巡る訴訟で今年2月の大阪地裁判決は、ア社のみに製造物責任法(PL法)に基づく賠償を命じ、国の責任は認めなかった。この日の東京地裁判決は国に対して大阪地裁よりも厳しい判断を示したといえ、新薬の副作用情報の提供のあり方など今後の薬事行政に影響を与えそうだ。

訴訟では、国が世界で初めて輸入販売を承認した2002年7月当時、医療機関向けの添付文書で、副作用の注意喚起が十分だったかどうかが主に争われた。

判決は、国が承認前の時点で、副作用の「間質性肺炎」を発症し、呼吸困難に陥るなどして死に至る可能性を認識していたと判断した。

その上で国やア社の責任に言及。国は副作用情報を添付文書の「警告欄」に記載するか、「致死的」の可能性を記載するようア社に対し行政指導をすべきだったと指摘。「ほかに安全性確保の十分な措置が講じられておらず、国家賠償法上の違法がある」とした。

ア社については、「イレッサは特定の患者に高い効能、効果があり、製造上の欠陥はない」とする一方で、「当初の添付文書の記載では医師らへの情報提供が不十分で、指示・警告上の欠陥があった」と指摘。

イレッサはPL法で規定する「通常の安全性を欠いた状態だった」と認定した上で「添付文書に致死的となる可能性を記載していれば、服用を開始・継続することはなく、間質性肺炎で死亡することはなかった」と結論付けた。

患者3人のうち1人については、厚生労働省が02年10月15日に「緊急安全性情報」を出したのを受けて添付文書が改訂された後に服用していたため、副作用の情報提供は十分だったとして請求を退けた。

訴訟では大阪、東京両地裁が今年1月、被告らには救済責任があるとして、原告、被告双方に和解を勧告。国とア社が和解を拒否したため、判決に至った。

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