2019年1月19日(土)

海自いじめ訴訟、国に7300万円の賠償命じる 東京高裁

2014/4/23付
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2004年に海上自衛隊の護衛艦「たちかぜ」所属の1等海士(当時21)が自殺したのは先輩隊員のいじめが原因だとして、遺族が国と元2等海曹(43)=懲戒免職=に計約1億5千万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が23日、東京高裁であった。鈴木健太裁判長は「国側は自殺を予見できた」として、計約7330万円の支払いを命じた。一審の約440万円から大幅に増額した。

また判決は、海自が1等海士の自殺をめぐり実施したアンケート結果を遺族側に隠していたことも認めた。

国側が自殺を予見できたかどうかについて、鈴木裁判長は、1等海士の自殺の約1カ月前に上司が「2等海曹が後輩に暴行している」との申告を受けていたと指摘。「その時点で実態調査や適切な指導をしていれば、自殺は回避された可能性がある」として、自殺についての国側の賠償責任も認めた。

一審・横浜地裁は「自殺は予見できなかった」として、元2等海曹による暴行と恐喝の賠償責任だけを認めていた。

控訴審では、一審段階で国側が「破棄した」としていた乗組員アンケートの存在が内部告発によって発覚。鈴木裁判長は「行政文書の開示請求の対象になっていたにもかかわらず、保管していないなどとして隠匿した」と認定し、この点について20万円の賠償を命じた。

アンケートは、海自が1等海士の自殺後に、暴行の実態を把握するために実施。遺族が05年に開示請求したが、国側は「廃棄済み」として応じなかった。

12年4月、一審で国の指定代理人を務めた3等海佐の内部告発により、存在が発覚したが、防衛省は内部調査で「組織的な隠蔽はなかった」と結論づけていた。

判決によると、1等海士は03年8月に海自に任官。同12月にたちかぜに配属となったが、04年春ごろから元2等海曹に殴られたりエアガンで撃たれたりしたほか、アダルトビデオを高額で買い取らされるなど、繰り返しいじめを受けるようになった。同年10月に東京都内で電車に飛び込み自殺。06年4月、遺族が提訴した。

判決後、1等海士の母親(60)は「命に対する責任が認められ、息子にきちんと報告できる」と涙ぐみながら述べた。

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