いじめ認知14万4千件 4~9月で昨年度の2倍
学校や教委が積極的に把握
大津市の中2男子自殺問題を受け文部科学省が実施したいじめの緊急調査で、今年4~9月に全国の小中高校などが認知したいじめは14万4054件で、2011年度の7万231件の約2倍になったことが22日分かった。学校や教育委員会が積極的に把握に努めたことで報告件数が急増したとみられるが、アンケートの実施方法や防止策で地域差が大きい実態も鮮明になった。
多い都道府県 | 件数 | 2011年度 の件数 |
(1)鹿児島 | 30,877 | 395 |
(2)千 葉 | 15,793 | 7,452 |
(3)宮 城 | 9,579 | 1,722 |
少ない都道府県 | ||
(1)佐 賀 | 132 | 68 |
(2)香 川 | 168 | 309 |
(3)鳥 取 | 198 | 78 |
同省は「取り組みは進んだが、全てを認知できているとはいえない」としている。認知件数は小学校が約8万8千件、中学校が約4万3千件、高校が約1万3千件、特別支援学校が約600件。内容は冷やかしや無視、暴力、金品をたかるなどで、いじめが解消した割合は78.9%だった。
都道府県教委などが「子供の生命や身体の安全が脅かされる恐れがある重大事案」と報告したのは278件。暴力を受けて自殺をほのめかした小学生男子の例などがあった。いずれも問題が解決したか継続支援中だという。
都道府県教委が分析した増加要因を同省が集計したところ、「軽微な事案でもいじめと判断した」が68%に上った。「子供や保護者の意識が高まり、訴えが増えた」が59%、「アンケート方法を工夫した」が34%を占めた。大津市の問題を受け各地で意識が向上した。
ただ、地域差は大きい。最も多い鹿児島県の3万877件に対し、最も少ない佐賀県は132件だった。文科省のいじめの定義は「心理的、物理的な攻撃を受け、精神的な苦痛を感じているもの」だが、判定基準は各県で異なるためだ。
いじめ問題への取り組みもばらつきがある。アンケートを定期的に行うよう求めていない市区町村教委が全体の8%、いじめ問題の校内研修を実施していない学校は12%に上った。暴力行為など犯罪になる可能性がある事案を把握した場合でも警察に特に通報しないとした学校も11%あった。
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