衆院定数訴訟、最高裁で大法廷弁論 選管側は合憲主張 - 日本経済新聞
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衆院定数訴訟、最高裁で大法廷弁論 選管側は合憲主張

(更新)

「1票の格差」が最大2.30倍だった2009年8月の衆院選は法の下の平等に反し違憲だとして、各地の有権者が選挙無効を求めた9件の訴訟の上告審で、最高裁大法廷(裁判長=竹崎博允長官)は23日、当事者の主張を聞く弁論を開いた。高裁段階では違憲判断が相次いでおり、これまで3倍以内を目安に合憲としてきた最高裁の結論が注目される。判決は今春にも言い渡される。

定数訴訟は一審が高裁となる。09年衆院選では同年12月から翌10年4月までに全国8高裁・支部で計9件の判決が言い渡され、「違憲」「違憲状態」が計7件だったのに対し、「合憲」は2件。いずれも上告され、最高裁が審理を大法廷に回付していた。

この日の大法廷では午前1件、午後に8件を審理。午前の弁論では、昨年2月に一審・東京高裁で「違憲状態」との判決を受けた東京都と神奈川県の原告側弁護士グループが「投票価値の格差は住所で差別するということ。現行の定数配分は国民の政治意思をゆがめている」と主張した。

そのうえで「格差が3倍以内ならいいなどと勝手な基準を容認している民主主義国家は、日本以外にどこにもない」と訴え、最高裁に違憲判断を求めた。

被告の選挙管理委員会側は「現行の選挙制度は多様な民意を国会に反映させるもので、合理性があり合憲」と反論した。

午後の8件のうち一審が高松高裁の1件は、被告の香川県選管の委員長が竹崎長官の実兄に当たるため、長官が審理を外れる「回避」を申し立て、那須弘平裁判官が裁判長を務める。

衆院選で1票の格差の是正が進まないのは、各都道府県にまず1議席を割り振る「1人別枠方式」に原因があるとの指摘が根強い。過疎地への配慮などを理由に導入された仕組みだが、人口に比例した定数配分を妨げる要因ともなっているためだ。

違憲判断を出した昨年3月の福岡高裁判決は、同方式がなければ格差は1.6倍に収まると試算。「同方式は議員の延命策で、国会は改善の努力をせず座視している」と、格差是正の遅れを強く批判した。

多くの高裁判決が国会に厳しい目を向ける中、最高裁が大法廷判決で従来の"3倍基準"を見直すかが焦点。違憲と判断されれば、国会は早急な対応を求められることになりそうだ。

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