「独眼竜」東北新幹線にお目見え 23日で開業30年
ラッピング車両が運行
1982年6月に大宮―盛岡で開業した東北新幹線が23日で30周年を迎える。JR東日本はこれを記念し、22日から沿線各都県の名産品などを車体にあしらったラッピング新幹線の運行を開始。駅ホームでは車体を記念撮影する乗客の姿が目立ち、開業初年度に乗車した乗客たちは、当時を懐かしんでいた。

10両編成のE2系の各車両に、青森のリンゴや岩手のわんこそば、秋田のなまはげなどが描かれている。JR東日本のIC乗車券「Suica(スイカ)」のマスコットキャラクターのペンギンを仙台藩主、伊達政宗風にしたイラストも。この日午前8時すぎ、JR東京駅にラッピング新幹線が滑り込むと、ホームから歓声が上がった。
台湾出身のさいたま市の会社員、金井百合子さん(44)は大宮から東京まで東北新幹線で通勤する。30年前、家族旅行で日本を訪れた際、開業したばかりの東北新幹線に乗車。当時、台湾にはまだ新幹線がなかったといい、「初めて見る車体は格好良く、興奮して写真をたくさん撮ったことを思い出す。台湾の親戚にうらやましがられて鼻が高かった」と懐かしんだ。
自社工場がある小山(栃木県)に向かう東京都昭島市の会社員、石井肇さん(55)は、福島県いわき市のダンスチーム「フラガール」のイラストを物珍しそうに眺めながら車両に乗り込んだ。
転職する今年3月まで月に数回、仕事で仙台市を訪れるのに東北新幹線を利用してきた。東日本大震災で電柱などが被災、全線運休。「あのときは、夜行バスで約7時間かけて向かい、くたくたになった」と振り返った。50日後の復旧に「新幹線のありがたみが身にしみた。30年の節目に、観光で利用してみようかな」と笑顔で話した。
東北地方と首都圏を結ぶ大動脈として、今年3月までに累計約19億4千万人を運んだ。