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宮沢賢治に「地質学者」の顔 直筆書き込み地図発見

詩人で童話作家の宮沢賢治が1918年に故郷の岩手県稗貫郡(現花巻市)の地質を調査した際に、岩石名などを書き込んだとみられる地図が、22日までに見つかった。国立科学博物館(東京都)の依頼で2月、専門家が書き込みを筆跡鑑定、賢治の直筆と推定されると結論づけた。

地図は16年発行の5万分の1の稗貫郡周辺図で、縦46センチ、横58センチ。賢治が地質分布ごとに絵の具で薄く色付けしたとみられ、欄外には「Quartz porphyry(石英斑岩)」「alluvium(沖積層)」など専門用語の書き込みがいくつもあった。

所有しているのは盛岡市の沢井敬一さん(88)。99年夏に賢治の学友の旧家が解体された時に買い取った廃棄物の中にあった。岩手県立博物館の専門家が賢治のものの可能性があるとしたが、決め手がなかった。しかし昨年、賢治関連の企画展を計画している国立科学博物館が話を聞き、筆跡鑑定の運びとなった。

賢治は幼少時代に鉱物採集好きから「石っ子賢さん」と呼ばれた。盛岡高等農林学校(現岩手大農学部)に進み、卒業後の18年には研究生として稗貫郡の地質調査を行い、旧家の学友も一緒だったという。

岩手県立博物館の大石雅之学芸部長は「賢治の作品に出てくる不思議な言葉には地質学の専門用語もある。地図は賢治がしっかりとした専門知識を持っていた証拠で、地道に歩いた様子も伝わってくる」と話している。

大石学芸部長らは23日に花巻市で開かれる宮沢賢治学会で地図の発見を発表する予定。〔共同〕

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