2019年3月26日(火)

消費者事故調きょう発足 原因究明、問われる実力
限られた予算・人員、警察捜査との調整…

2012/9/30付
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身の回りで起きる製品事故や食品被害などの原因を究明する消費者安全調査委員会(消費者事故調)が1日、発足する。関係省庁に再発防止策を示す役割もあり、被害者らの期待は大きい。限られた予算と人員でどこまで真相に迫れるのか。刑事責任を追及する捜査当局との調整はスムーズに進むのか。課題は多く、実力は未知数だ。

消費者事故は過去、責任の所在が分からないまま被害者が泣き寝入りするケースも多かった。被害者や遺族の要望を受けて設置が決まった消費者事故調は運輸安全委員会が担当する航空・鉄道・船舶を除くすべての事故を調査対象とする。こんにゃく入りゼリーの窒息死など、所管省庁が明確に決まっていない「隙間事案」と呼ばれる案件も手掛ける。

首相が任命する7人の委員で構成。調査する事故の選定▽調査結果の公表▽関係省庁への改善策の提言――などをする。各分野の専門家数十人をあらかじめ登録しておき、事案ごとに2~3人を専門委員や臨時委員に任命して調査を進める。技術的な解析を国民生活センターの商品テスト部などに依頼することもある。

製品の技術的な問題だけでなく、事故に至った背景も含めて調べる。関係者への聞き取りや立ち入り検査の権限を持ち、拒否すれば罰則もある。

調査は年間100件が目標。事故調発足前に起きた事故も調査対象となり、例えば、2006年に東京都港区のマンションで男子高校生が死亡したエレベーター事故は「調査対象になる」(消費者庁の阿南久長官)。

事故調の設置を求めてきた主婦連合会の河村真紀子事務局次長は「生活の中で起きるほとんどの事故は原因が調査されずに放置されてきた」と期待を寄せる。消費者事故調の予算は年2億円弱。「限られた予算と人員の中で、たとえ10件でもいいからきちんと調査をしてほしい」と注文を付ける。

調査事案が警察の捜査対象になった場合の対応も課題だ。消費者事故に詳しい中村雅人弁護士は、事故の関係者に安心して証言をしてもらうために「消費者事故調の報告書を刑事事件の捜査や裁判の証拠に使わないことをルール化する必要がある」と指摘する。

捜査機関が押収した証拠を消費者事故調が閲覧や検証できないと、調査に支障が出る恐れもある。中村弁護士は「運輸安全委員会のように、証拠品の取り扱いなどを巡る覚書を警察側とあらかじめ交わしておく必要がある」という。

阿南長官はこうした指摘を認め「警察側との覚書は必要で検討を進めている」と話している。

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