除染「国民の信頼強化を」 IAEA報告書、8つの助言
東京電力福島第1原発事故に伴う除染の状況を検証するため来日した国際原子力機関(IAEA)の専門家チームが21日、8つの助言からなる報告書(暫定版)をまとめた。チームを率いるフアン・カルロス・レンティッホIAEA核燃料サイクル・廃棄物技術部長は除染の進捗を評価する一方、政府に対し「国民の信頼を得るためコミュニケーションを強化する必要がある」と強調した。
レンティッホ氏は21日、東京都内で会見し、「除染活動は復興活動とうまく連携できている」と評価。ただ「さらなる改善の余地がある」とし、特に住民が除染活動の内容、効果、廃棄物や費用などの負担を把握できるようコミュニケーションの改善が必要だとした。
8つの助言では、地元から要請の強い森林除染について「住宅、農地、公共の場所の周囲にある森林地域の環境回復の最適化を継続すること」と言及。環境省が住宅周辺で行う森林除染を追認する姿勢を示した。
福島県大熊、楢葉、双葉町で建設予定の中間貯蔵施設など、汚染物の管理施設については「適切な実証を行い、独立した評価を考慮に入れることを推奨する」とし、意思決定プロセスの客観性や透明性を担保すべきだとした。
個人線量計を使って住民の外部被曝(ひばく)線量を測定し、線量が低減する傾向を確認することなども助言した。
報告書を受け取った石原伸晃環境相は「着実に進捗しているという評価はありがたい。助言を実際にうまく生かせるようにする」と述べた。
同チームは各国の専門家16人で構成され、11年10月以来、2度目の来日。福島県川内村などの除染現場を視察し、関係省庁から聞き取り調査を行った。報告書の最終版は2カ月後にも公表予定。