希少ワシの鉛中毒深刻 撃たれたシカの肉摂取で

2013/4/22付
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北海道でエゾシカ猟で禁止されている鉛弾が使われ、撃たれたシカの肉を食べた希少種のオオワシやオジロワシが鉛中毒で命を落としている。

環境省釧路自然環境事務所によると、ワシの鉛中毒は規制を始めた2000年以降、疑い例も含めて88羽。うち51羽は死骸で、保護した後で死んだものも多い。13年は3月末までに6羽が保護、収容された。

ハンターが放置したり、撃たれて逃げた後で死んだりしたシカの肉と弾を一緒にのみ込むのが原因。鉛中毒になると貧血や呼吸器不全のほか、中枢神経や脳の障害で立ち上がったり飛んだりできなくなる。

背景にあるのがエゾシカの爆発的な増加。明治期の乱獲と大雪で絶滅しかけたが、保護施策により約65万頭まで回復し、農林業の被害は59億円に上る。道は1994年にシカ猟の規制を緩和し、97年ごろからワシの鉛中毒が発生するようになった。

これを受け、00年からシカ猟での鉛ライフル弾使用を規制し、04年からは道内の全ての狩猟で鉛弾使用を禁止した。だが鉛弾所持は禁止されておらず、使用も現行犯でないと取り締まれない。鉛弾は道内では販売していない店がほとんどだが、インターネットでは購入できる。

環境省鳥獣保護業務室によると、本州でも鉛中毒が疑われる例があるが、実態調査はされていない。鉛は加工しやすく安価で、全国規制に関しては「銃所有者の費用負担につながる話なので反発が出る」と及び腰だ。

ワシの保護や治療をしてきた猛禽類医学研究所(釧路市)代表で獣医師の斉藤慶輔さんは「原因と対策がここまではっきりしている希少動物の被害は他にない。根絶しなければならない」と国に働き掛けている。〔共同〕

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