イグ・ノーベル賞に日本人 おしゃべり妨害装置

【ケンブリッジ=共同】ユーモアあふれる科学研究などに贈られる「イグ・ノーベル賞」の授賞式が20日、米マサチューセッツ州ケンブリッジのハーバード大で行われ、迷惑を顧みず話し続ける人を邪魔する装置「スピーチ・ジャマー」を開発した産業技術総合研究所研究員の栗原一貴さん(34)、科学技術振興機構研究員の塚田浩二さん(35)の2人が「音響賞」を受賞した。
日本人の受賞は6年連続。選考関係者は「おしゃべりが過ぎる人をどう黙らせるかという、人類の根源的な欲求にこたえようとした点が評価された」と説明した。栗原さんは代表して「受賞はとても光栄です」と喜びを語った。
装置の名前は、妨害を意味する英語の「ジャム」と日本語の「邪魔」を掛けた。話している人の声をマイクで拾い、約0.2秒後に指向性スピーカーで声を本人に送り返す仕組み。普段、声は出すのと同時に自分にも聞こえるが、少し遅れて聞こえるようにすると、なぜかうまく話せなくなることが分かっており、この現象を応用した。スピーカーからの声は最大で約30メートルまで届くという。
栗原さんらは「肉体的苦痛などがなく、発話をコントロールできる。音が直進するので、他の人に迷惑がかからない」と効用を説明。会議や図書館などでの利用が期待できるが「まだ実用レベルではない初期開発段階」としている。
このほか「ロシアの古い弾薬を人造ダイヤモンドに転換する技術」に「平和賞」、「コーヒーを持って歩くとどうしてこぼれるのか」の研究に「流体力学賞」などが与えられた。