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渋谷~六本木 終夜バス始動 利用者ら歓迎、タクシー悲鳴

深夜帯の街の活性化につなげようと、東京都交通局が21日、渋谷駅と六本木駅間で「終夜バス」の試験運行を始めた。土曜日の午前1~5時台に走らせる。都内有数の繁華街間のアクセスが向上することに、利用者は「もっと広げて」と歓迎、飲食店なども集客アップを期待する。一方、「ライバル」となるタクシー運転手らからは不満の声も聞かれた。

■運賃400円、15分で到着

21日午前1時10分。忘年会帰りの会社員や若者らでにぎわう渋谷駅西口から、約35人を乗せた「終夜バス」が発車した。JRや地下鉄などの終電は終了。タクシー待ちの長蛇の列を横目に動き出したバスは約15分で六本木に到着した。

「これから六本木のクラブでクリスマスパーティーなの」。渋谷駅から乗車した神奈川県横須賀市の飲食店従業員、斎藤美貴さん(21)はバスを降りると駆けだした。六本木駅への地下鉄の終電を逃し、友人から終夜バスの存在を聞いたという。「スムーズに着いたし400円は安い。もっと運行日を増やして」

六本木の飲食店で取引先との忘年会を終えた世田谷区の男性会社員(47)は午前1時40分ごろ、渋谷駅行きのバスに乗り込んだ。渋谷駅からはタクシーで帰宅するといい、「バスに乗ることで抑えられた交通費でもう1杯飲める。郊外まで路線を広げてほしい」と笑顔を見せた。

■「お客さん、もっと長く」

周辺の飲食店の期待は高い。バス停に近い六本木ヒルズは20日夜から21日未明にかけ、一帯のイルミネーションの点灯時間を最大5時間延ばした。森美術館は金曜日の閉館時間を午後10時から土曜午前0時に延長。森ビルの担当者は「終夜バスでより多くの人に六本木を訪れてほしい」。

六本木にあるダーツバーは客の6割超が終電に合わせて帰るといい、男性店員(28)は「バスの本数や行き先が増えればお客さんがもっと長く滞在してくれるかも」と期待を込める。

■「仕事の区切り」不安視も

東京都は終夜バスの運行実態を見極め、24時間運行の拡大を検討する方針。だが、手放しで喜ぶ人ばかりではない。

「深夜は一番のかき入れ時。終夜バスは営業妨害だ」と憤るのは、個人タクシーの50代の男性運転手。週末の夜から未明は客が多いが「定着すれば、我慢してバスを待つ人も増えるだろう。死活問題になる」。

六本木近くの会社に勤める男性会社員(34)は「選択肢が増えるのはいいが、終電への意識が曖昧になると、仕事の区切りがつけられなくなりそう」と苦笑いしていた。

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