2019年5月24日(金)

東電の原発事故調、過失や責任認めず 最終報告書
原因は「想定外の津波」

2012/6/20 20:57
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東京電力は20日、社内の福島原子力事故調査委員会(委員長=山崎雅男副社長)による最終報告書を公表した。想定外の津波と備えが不十分だったことが事故の根本的な原因だと結論づけた。政府や民間の事故調が指摘した初動時の人為ミスや想定不足について過失や責任を認めず、自己弁護が目立つ内容となっている。

東電原発事故調査委の最終報告書を公表する山崎雅男副社長(20日午後、東京・内幸町)=共同

東電原発事故調査委の最終報告書を公表する山崎雅男副社長(20日午後、東京・内幸町)=共同

報告書はA4判で本文352ページ。社内事故調が勝俣恒久会長や清水正孝前社長ら経営幹部を含む役員と社員約600人に聞き取り調査し、有識者による検証委員会にも意見を聞いた。

巨大津波や浸水の恐れについて、過去に国や専門家から指摘を受けていたことは認めたが、「最新知見を踏まえて対策を施す努力をしてきた」と説明した。記者会見した山崎副社長は「結果的に甘さがあった」と述べたものの、「できる限りのことは尽くしてきた」と想定不足の責任はないと強調した。

政府事故調が操作ミスを指摘していた1号機の非常用復水器(IC)や3号機の高圧注水系(HPCI)については「厳しい環境の中で現場職員が懸命に事故の収束にあたった」(山崎副社長)と初動対応に過失はなかったと結論付けた。

東電本店と福島第1原発を結んだテレビ会議の映像は「プライバシーの問題が生じる」として公表しなかった。

事故直後に作業員の全面撤退を申し出たかどうかを巡り東電と官邸とで認識が真っ向から対立しているのは「言葉の行き違いによるものだ」と指摘。官邸の現場介入については「緊急事態対応の中で無用の混乱を助長させた」と批判した。

東電社内事故調の報告書の主な内容
  • 事故の根本原因は想定外の大きさの津波だった。津波想定には結果的に甘さがあった。津波の備えが不十分だった
  • 過去の災害や事故の知見を反映し、安全向上の取り組みを継続してきた
  • 作業に直接関係しない者の一時退避を検討したが、全面撤退ではなかった。(全面撤退と理解した官邸とは)言葉の行き違いで誤解があった
  • 主な放射性物質の放出は3月15日、2号機原子炉建屋から
  • 重要機器の地震による損傷は確認されていない

原発の北西方向に放射性物質の高汚染地域ができた最大の要因は、1号機や3号機の水素爆発やベント(排気)ではなく、昨年3月15日に2号機から出たものだと分析した。格納容器の一部が損傷したとみられているが、原因については言及しなかった。格納容器の圧力が大幅に低下し、原子炉建屋から白い煙が出て、北北西方向の風が吹き雨が降ったことを理由に挙げるにとどめた。

地震の揺れによって原子炉の主要な機器が損傷したかどうかについては確認されていないとした。

東電事故の報告書では、国会事故調が6月末、政府事故調が7月下旬に最終版を公表する予定。東電や政府の責任などを追及する方針だ。

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