2019年1月22日(火)

弁護士、深刻さ増す就職難 日弁連は勧告歓迎
司法試験合格目標見直し

2012/4/20付
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年間3千人としてきた司法試験数の政府目標の見直しを求めた20日の総務省勧告は法曹関係者の間で波紋を広げている。弁護士の仕事が増えない中で法曹人口が急増したため、弁護士の就職難は深刻さを増すばかり。合格者数削減を求めてきた日本弁護士連合会は歓迎する一方、入学定員の削減を求められた法科大学院は反発を強めている。

「民間企業に就職した方が安全と判断した」。2008年に都内の法科大学院を修了した男性(31)は一度も新司法試験を受験せず、民間企業に就職した。新人弁護士の厳しい就職事情に加え、当初の触れ込みより低い合格率に尻込みした。

「60以上の弁護士事務所に履歴書を送り、ようやく1つから内定をもらった」。都内で司法修習中の男性(27)は胸をなで下ろす。同期の修習生のうち内定を獲得できたのは半分に満たない。「弁護士事務所への就職をあきらめる修習生も出始めている」と話す。

日弁連によると、11年に卒業試験に合格した司法修習生1991人のうち就職先が見つからず、弁護士会費などが払えないなどの理由で弁護士登録しなかった人数は約400人に達した。

そのため一度も弁護士事務所で働かず、いきなり独立する「即独」や固定給なしで事務所のスペースだけを借りる「ノキ弁」と呼ばれる弁護士も増えている。

実務経験不足の弁護士が増えることを危惧して合格者数の目標を1500人まで減らすよう求める日弁連の海渡雄一事務総長は「弁護士が供給過剰で就職難に陥っており、政府目標だった3千人に達していない現状でも国民生活に大きな支障は起きていない。定数削減には賛成」と今回の勧告を評価する。

企業や官公庁など弁護士の活躍の場を広げて「身近で利用しやすい司法の実現」を目指した司法制度改革。法曹人口はこの10年間で約2万1千人から約3万5千人に急拡大したものの、働き口は思ったように増えず、弁護士は慢性的な供給過剰に陥っている。

一方、新司法試験の合格率が低迷する法科大学院に対し、今回の勧告は教育の質の向上と、志願者数の少ない学校にはさらなる入学定員の削減を求めた。都内の法科大学院で教員を務める男性弁護士は「行政や弁護士会が法曹に対するニーズを開拓する努力をせず、がんばっている学生の首を絞めるような合格者数削減は安易な発想で認められない」と反発する。

今回の勧告を法務省幹部は「勧告で指摘された内容は私たちも十分に認識している」と冷静に受け止める。「今後、政府の法曹の養成に関するフォーラムで適正な合格者数について議論を深めたい」と話す。

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