オーケストラ、各地で存続危機 補助金削減で資金難

2010/9/21付
保存
共有
印刷
その他

タキシード姿の楽団員たちが奏でる優雅な音楽――。そんな華やかなイメージの陰で、地方のオーケストラが資金不足にあえいでいる。運営を支える"命綱"の補助金が国の事業仕分けや自治体の財政難で相次いで削減されているのが原因で、関係者は「このままでは地方楽団が消える」と危機感を強める。

「多くの署名で楽団を支援してください」

8月中旬。神奈川フィルハーモニー管弦楽団は横浜市のショッピングモールで無料演奏会を開き、買い物客らに、神奈川県の補助金維持を求める署名への協力を訴えた。

神奈川フィルは昨年、168公演で約3万人の観客を動員した。それでも団員と職員計約90人を抱え、人件費を中心とする運営費は入場料収入ではまかなえない。補助金が頼りだが、県は本年度の補助金を前年度より1800万円削減、2億500万円とした。

松沢成文知事は「文化支援は非常に重要と思う」としつつも「厳しい財政状況の中でやっている」と理解を求める。

大阪センチュリー交響楽団(大阪府)はさらに深刻だ。橋下徹知事は2008年の就任後、府の財政再建策の一環として、楽団の事業費の半分近くを占めていた補助金の大幅カットを表明。11年度から全廃するとした。

同楽団は早ければ11月にも公益財団法人化を内閣府に申請。来年4月に「日本センチュリー交響楽団」と改称し、府から独立する。原則、演奏による収益が非課税になるなどの利点があり、当面は基本財産約20億円を取り崩しながら公演活動を継続する。

日本オーケストラ連盟などによると、加盟する31のプロオーケストラの大半が補助金に頼っているのが現状だ。広島交響楽団(広島県)や九州交響楽団(福岡県)でも既に補助金カットの動きがある。文化庁から各楽団に支給されている補助金も、昨年の事業仕分けで削減されたという。

同連盟の支倉二二男常務理事は「地方の楽団は企業の支援がほとんどなく、補助金なしでは経営が成り立たない。音楽家の働く場所が日本になくなれば、人材が流出し、音楽家を目指す子が減る」と悪循環も心配する。

米国では文化団体などへの寄付に対する税控除が手厚く、地方楽団でも大半が民間企業などの寄付で運営しているという。支倉理事は「日本も税控除制度を整備するなど、民間からも支えてもらえる環境をつくってほしい」と訴えた。〔共同〕

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]