成年後見制度、不正防止に信託銀活用
認知症の高齢者などの財産を後見人が管理する「成年後見制度」を巡り、横領防止のため財産を信託銀行に預ける新制度について、日弁連と最高裁との協議がまとまり、近く制度が始まる見通しになった。後見人がまとまったお金を引き出す際に家裁がチェックすることで、不正な財産流用を防止する。
制度は最高裁が今年2月に新設方針を表明。財産を生活費などに使う小口の資産と大口の資産にあらかじめ分け、大口資産は信託銀に預けておく。小口は自由に使えるが、大口を引き出す場合は事前に家裁の許可が必要になる。
日弁連は「成年後見制度の柔軟な運用に支障が出る可能性がある」などとして慎重姿勢を示していたが、20日までに最高裁との定期協議などを条件に容認に転じた。最高裁は「開始に向け準備を進めたい」としている。
最高裁が昨年6月から今年3月に不正の発生状況を調べたところ、平均して月に18件、2億円近い被害が出ていた。親族が十分な自覚や理解のないまま後見人になり、お金を使い込んでしまうケースが目立つという。
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