「幻の東京五輪」裏話公開、国会図書館HP
約75年前、戦争の影響で開催を断念した「幻の東京五輪」に関する資料を国会図書館がまとめ、ホームページで公開している。ライバルのイタリアに招致辞退を直談判したり、絵画や文学など芸術競技も予定されたりと、当時の様子を伝えている。
国会図書館によると、神武天皇即位から2600年目に当たるとされる1940年の開催を目指し、30年ごろから招致活動が始まった。節目での大会実現を熱望する日本の招致担当者は34年、ムソリーニ伊首相と会見し、辞退の確約を取り付けた。
後にこの直談判は問題となるが、36年に開催が決まった。だが日中戦争が次第に激しくなり鉄鋼が不足、新たなスタジアムの建設が困難となる。木材を使う案が浮上するも、国内外から大会返上の声が高まり、38年に中止が決まった。
掲載されている大会のプログラムでは、陸上競技や球技に加え、建築や絵画、文学を競う芸術競技も予定されていた。
2020年の東京五輪開催を受け企画された。国会図書館の担当者は「アジア初の開催を目指して招致活動や大会準備に尽力した人々の息遣いを、当時の資料から感じてほしい」と話した。
所蔵資料に解説を付けて紹介するホームページの「本の万華鏡」というコーナーに、「もう一つの東京オリンピック」のタイトルで掲載されている。〔共同〕
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