悪徳商法に集団訴訟 被害者救済へ特例法案
閣議決定、16年にも施行
政府は19日、悪質商法の被害者に代わって、消費者団体が損害賠償請求訴訟を起こせる「消費者裁判手続き特例法案」を閣議決定した。個々の消費者が裁判を起こさなくても被害を回復できるようにして、泣き寝入りしがちな少額の被害も救済しやすくする。消費者庁は今国会で成立を目指しており、早ければ2016年に施行される。

訴訟の乱発などを懸念する経済界に配慮し、施行日を公布日から3年以内とし、施行前に結ばれた契約には適用しない。集団訴訟を起こせる団体は現在全国に11ある適格消費者団体から絞り込んで認定する「特定」団体に限定。団体が受け取る報酬額も今後定めるガイドラインで枠をはめる。
新たな集団訴訟制度は2段階で構成し、第1段階では消費者団体が事業者を提訴する。裁判で事業者の支払い義務が認められるか和解した場合、事業者が開示する顧客リストなどを基に、消費者団体が被害者の参加を募る。第2段階では裁判所が確定させた個別の被害額を事業者が支払う。
対象は、契約不履行や不法行為に基づく損害賠償や不当利得返還請求など財産被害に限定、製品事故や食中毒といった生命・身体に生じる損害や慰謝料、逸失利益などは対象外とした。
07年に始まった現行の制度では適格消費者団体は不当行為の差し止め請求はできるが、損害賠償請求はできなかった。
森雅子消費者担当相は19日の閣議後の記者会見で、「消費者が少ない労力や費用で訴訟を実現でき、市場の信頼性を高められる」と新制度の意義を強調した。
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