2019年9月16日(月)

政府、警戒区域除染へ調査開始 福島・大熊町
モデル事業、効果的手法を見極め

2011/11/18付
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政府は18日、東京電力福島第1原子力発電所の事故で住民避難の対象になっている警戒区域の除染に向けたモデル事業を始めた。福島第1原発から約4キロ離れた福島県大熊町で放射線量の測定などを実施。事故後、警戒区域内で国が除染に向けた作業に乗り出すのは初めて。町外に避難中の住民は帰郷への期待を膨らませる一方、悲観的な声も聞かれた。

福島県大熊町役場(後方)の周辺で放射線量を測定する作業員(18日)=写真 浦田晃之介

政府は年間の被曝(ひばく)線量が20ミリシーベルト以上の地域については、国が直接除染する方針を決めている。今回の作業は来年1月にも本格的な除染を始める前に、具体的な方法、費用などを確認するのが目的。対象は警戒区域と計画的避難区域などとなっている福島県内の12市町村。

18日は作業の委託を受けた日本原子力研究開発機構と大林組などの作業員約30人が参加した。大熊町役場周辺の駐車場や山林など約4.5ヘクタールの地域で3日かけて放射線量を測定。約10メートル間隔で約400地点を調べる。18日の測定では、地上から高さ1センチで毎時10~20マイクロ(マイクロは100万分の1)シーベルト、高さ1メートルで10~17マイクロシーベルトの放射線量が観測された。毎時20マイクロシーベルトは年間の被曝線量に換算すると、100ミリシーベルトになる。

帰宅への布石となるモデル事業が始まったことに、町民の間では、期待やあきらめの声が交錯した。

いわき市の借り上げ住宅で暮らす無職、橋本憲一さん(40)は「すぐに帰れる状況にならないことはわかっているが、お盆やお彼岸に自由に墓参りできるようになればいい」と歓迎する。10月に一時帰宅で訪れた先祖の墓の墓石は倒れ、骨つぼが野ざらしの状態だったといい「一刻も早く直してあげたい」と話す。

会津若松市に避難中の渡部隆繁さん(62)は被災まで20年以上にわたりコメなどの有機農業に励んできた。「除染が進めばいつかは人が住めるようになる」と期待する半面、「手塩にかけた土壌ごとはぎ取られたら、もう農業はできない」と複雑な胸の内を明かす。

妻子らを同市の仮設住宅に残し、福島第2原発で作業員として働く男性(49)は「地中に染み込んだ雨水など、表土以外の汚染も気になる」との不安がぬぐえない。長女(14)が心配で「連れて帰る気にはならない」。

第1原発から1キロ以内に自宅があるという女性(50)は「一時帰宅の際に測定した線量は1時間当たり80マイクロシーベルト。高すぎて、除染の完了を待っても時間の無駄では」と吐き捨てるように話した。

政府は12市町村で順次、放射線量を計測。路面の洗浄や土壌の除去などを行い、どれくらい線量が低下するかなどを確認する。最も効果的な手法を見極めた上で本格的な除染を始める考えだ。

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