リニア詳細案決定 品川・名古屋駅は乗り換え素早く
東海旅客鉄道(JR東海)は18日、2027年に品川―名古屋間での開業を目指すリニア中央新幹線の詳細なルートや駅の位置を発表した。品川駅と名古屋駅は東海道新幹線の既存の駅と直結。神奈川など中間4県に設ける駅も在来線の駅に近接した場所に設ける。首都圏と中部圏を40分で結ぶ新たな大動脈は実現に向けて大きく動き出す。

JR東海は同日、駅の位置などを盛り込んだ環境影響評価(アセスメント)準備書を沿線7都県と39の市区町村に送付した。アセスは大規模な開発の際に生態系などの自然環境や沿線への騒音といった影響を調べる手続き。準備書をもとに自治体や一般から意見を募り、11月をめどに最終的な評価書をまとめる。
JR東海はこれまでルートは3キロ幅、駅は直径5キロの大まかな位置で示してきた。詳細な位置が固まったことで、今後は工事実施計画の申請・認可や用地取得などの手続きに着手。来年度からの工事開始を目指す。
同日記者会見した山田佳臣社長は「早期に手続きを進めてもらい、一日も早く工事に取りかかりたい」と述べ、早期着工に意欲を示した。
駅の位置選定では、既存の鉄道駅や高速道路のインターチェンジからの近さを重視。品川(地下40メートル)と名古屋(同30メートル)は東海道新幹線のホーム直下につくり、3~9分で乗り換えられるようにした。神奈川、山梨、長野、岐阜の4県に設ける中間駅もJRの在来線の駅の近くに設ける。中間駅のうち神奈川は地下、残り3駅は地上駅とする。
相模原市と岐阜県中津川市の2カ所に車両基地も設ける。
時速500キロの超高速を最大限に生かすため、ルートも直線に近い形にした。品川―名古屋間の総延長は286キロで、東海道新幹線の同区間より2割短縮した。全体の86%は地下やトンネル内を走行する。
JR東海は27年にまず品川―名古屋間、45年に大阪までの全面開業を目指しており、総工費約9兆円は全額、同社が負担する。