2019年7月18日(木)

大学秋入学、変革のうねり 「沈む日本」に危機感

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2012/2/20付
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東京大学の秋入学への移行表明が、大きなうねりとなって社会を揺さぶっている。グローバル化を担う人材を育てようとする東大の危機感に、経済界をはじめ社会全体が共鳴している。国際競争という大海原に飛び込もうとする大学の変化を追った。

学生の相互派遣など交流強化へ日中韓の大学が開いた討論会(5日、名古屋市)

「副学長から東大案の説明を聞きたい」「詳しい資料を送ってほしい」。東大が1月20日に秋入学への全面移行構想を発表した直後、担当の清水孝雄副学長の元には、構想の実現に向けて協議会への参加を呼びかけた有力11大学以外の約20校から問い合わせが相次いだ。清水副学長は構想が前向きに受け止められていると感じる。

「ギャップターム」(入学までの半年間)の活用法を巡っても提案が目白押し。総務省や地方自治体のほか、国内外でインターンシップ(就業体験)プログラムを提供する世界最大級の学生団体「アイセック」が、アイデアを持ち込んできた。

経済界や政府もすぐさま反応した。日本貿易会の槍田松瑩会長は「画期的な改革案。実現に向け産業界は最大限の努力をすべきだ」と歓迎。「グローバル人材の育成という観点から大変評価できる。官民挙げて議論をしていきたい」。東大の発表から5日後の国家戦略会議で、野田佳彦首相も秋入学を戦略課題に位置付けた。

明治期に創設された大学は、外国人教員を招きやすくするため欧米と同じ秋入学だった。1921年に会計年度に合わせ、春入学に移行して約90年。東大を突き動かしたのはグローバル化への危機感だ。秋入学が実現すれば海外からの留学生が増え、日本人学生は海外に飛び出しやすくなる。

企業も秋・通年採用と対応することで、学生が学業に専念できる環境を整えるとともに、優秀な人材を採用する機会が広がる。ギャップタームは町おこしなど国内の地域活性化の可能性も秘める。社会を覆う閉塞感を打破し、将来への展望を切り開く"起爆剤"としての期待が高まる。

■海外と学生争奪

「海外から優秀な教員や学生を呼び込んで研究水準を高め、さらに優れた人材を引き付ける好循環をどう生むか。できない国は沈んでいく」。内閣府総合科学技術会議の相沢益男議員(元東京工業大学学長)も秋入学を評価する一人だ。

国の教育・研究水準のバロメーターとされる留学生の受け入れ数。日本は昨年5月時点で10年前比75%増の13万8千人だった。ただ、グローバル化が加速する中、世界に占める受け入れ割合は減少。経済協力開発機構(OECD)によると、2009年は3.6%で、05年から1ポイント低下した。

トップを走るのは欧米だ。域内を高等教育圏と位置付け、短期留学の単位互換制度を整える欧州連合(EU)。年20万人超の学生が月254ユーロ(約2万6千円)の助成金を得て出身国以外で学ぶ。

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