保険証の性別記載変更認める 性同一性障害で厚労省
厚生労働省は17日までに、戸籍上は男性で、心と体の性が一致しない「性同一性障害」と診断された松江市の市民団体代表、上田地優さん(54)について、国民健康保険証の性別欄に「女性」と記載することを認める方針を決めた。国民健康保険は市町村が運営しており、近く島根県を通じて松江市に方針を伝える。
厚労省が戸籍と異なる性別の記載を認めるのは初めて。同省は「今後も同様の要望があれば認めたい」(国民健康保険課)としている。
厚労省によると、何らかの形で戸籍上の性別が分かるようにすることが容認の条件。具体的には、保険証の表面の性別欄を「女性」とし、裏面に「戸籍上は男性」と記載する方法などが考えられるという。
上田さんは2006年に性同一性障害と診断された。07年、保険証の性別の表記を「女性」とするよう求め、厚労省が検討を進めていた。
上田さんは17日、「初めは難しいと思ったが、あきらめずにこつこつとやってきたことが認められることになり、感慨深い。行政も話せば分かってくれると思った」と話した。
松江市は今年4月、保険証を折りたたみ式からカード式に変更し、性別欄が表側になった。同市は今月2日、上田さんの要望に応じ、性別欄を「裏面記載」とし、裏面に「戸籍上の性別 男(性同一性障がいのため)」と記載した保険証を交付した。