「日本沈没」の生原稿を電子書籍化 推敲・校正の跡
SF作家小松左京さんの代表作で、19日に発刊40周年を迎える「日本沈没」の生原稿が、図書館向けに電子書籍化されることになった。小松さんの事務所イオが17日、発表した。「生原稿の電子書籍化は珍しく、創作過程を多くの人が再考する貴重な資料になると思う」としている。
秋田県立図書館が5月から利用者に貸し出しをスタート。今後、各地の図書館に販売する予定で、東日本大震災との関連で再び注目されている作品に、新たな光が当たりそうだ。
電子書籍化されるのは「日本沈没」の原稿全1225枚のうち、紛失した29枚を除く1196枚。出版社に渡した原稿で、多くの推敲(すいこう)や校正の跡がある。創作メモには、日本列島と地殻の動きを書いた図など、作品をつくる過程の多くのアイデアがあるという。
ほかに、不採用となった草稿、阪神大震災を詳細にリポートした書籍の生原稿も収録。イオは「作品を捉え直してもらい、日本列島と災害を再考するきっかけにもなれば」と期待する。〔共同〕